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第二十一講 「料理人の教育論」  第二十一講  ホテルニューアワジグループ  神戸ベイシェラトンホテル& タワーズ  総料理長 末松 純 氏

これからの料理人に伝えたい、真の食の安全とその重要性

【月刊HOTERES 2018年02月号】
2018年02月09日(金)
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末松 純(すえまつ・じゅん)
1989 年 大阪ヒルトンホテル入社。スカイラウンジ「ウインドーズ オン ザ ワールド」配属、ランチバイキングのコール料理担当。その後外資系ホテルの開業に携わり、デミシェフ、シェフとそのキャリアを積む。2007 年7 月 神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ入社。フランス料理「トップ・オブ・シェラトン」へ副料理長として配属。
12 年年宴会コール料理長就任。同年6月 宴会統括料理長を経て、13 年1 月 総料理長へ就任し、現在に至る。

さまざまな料理人がいる中で、一人一人が持つ苦悩と挑戦の数々の物語がある。ホテル・レストランの総料理長が食の業界や若手の料理人に向けて伝えたいことは何か。これまでの長い経験の中で、どのようなことに悩み、どのようなことを考え、どのようにチームを創り上げてきたのか。インタビューを通じて後継者育成に向けた取り組み、マネジメント手法などを探るシリーズ「料理人の教育論」を隔週連載でお届けする。

 
トップが感じる現場の現状
見える課題、若手の起用とその弊害
 
―「人材育成」という本題に入る前に、総料理長として近年の職場環境についてどのような印象をお持ちか、まずはお聞かせいただけますか。

 
 職場環境について話をする際、「コミュニケーション」というキーワードがよく取り上げられますが、会って話すこと、電話で話すこと、メールを使って伝えること、この辺りの区別が現代社会では非常に曖昧になってきていると感じています。そんな社会の影響を受け、世代間のコミュニケーションに対する手法や価値観は、それぞれ異なっています。本来であれば職場では各世代のスタッフが存在し、中堅は自然とベテランと若手の間をつなぐ役割を果たすわけですが、調理のみならず実際のホスピタリティの現場では、「中堅層の空洞化」がよく見受けられます。このことが、ときに不完全なコミュニケーションをもたらし、職場環境の悪化や、最悪の場合離職につながる一因となっているのではないかと感じています。あくまで一般論に近いお話ですが、この点に悩みを抱えていらっしゃる企業は多いのではないでしょうか。
 
―ほかにはどのような要因があるとお考えなのでしょうか。
 
 限られた人材資源の中で、組織における新入社員のような若手の存在意義というものが、10 年、20 年前と比較してとても大きくなっています。たとえば以前であれば数年かけて任されていた仕事を、今の若手は1 年目から任されるといったことも珍しくありません。そこには調理器具の発達に加え、期待に応えようという本人たちの努力だと認めるべき点ももちろん多くあります。
 
しかし弊害のようなもので、早くからさまざまな仕事を任されるため、一部スタッフの中には2 年、3 年経過したところで、「もう一人前だ」と感じ、簡単に離職や転職、人によっては友人数名と店を構えるといったパターンもあります。キャリアアップを想定した転職や、独立という夢に向かうチャレンジ精神自体は、私は素晴らしいと思います。ですがわずか2 年、3 年で調理のすべてが分かったような気になり、外へ出ていくというのは、時期尚早であると言わざるを得ないと感じています。
 
―先のような話を受け、御社では何か施策を設けられているのでしょうか。
 
 若手の学習意欲や、知らない分野への気づきを得るきっかけとして、1 年から1 年半、比較的早いスパンで部署異動を行なっています。環境が変われば仕事の内容も変わり、新たな気持ちで、意欲的に仕事に取り組んでいけると考えています。また異動を繰り返し、数年経てば立場も変わりますから、以前経験のある部署であっても仕事内容に変化が生まれます。
 

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