1983年に閉鎖されたポートエレン蒸留所
ディアジオが幻の2蒸留所「ポートエレン」と「ブローラ」を復活させる
世界規模による総合酒類グループのディアジオplc(本社・ロンドン、イヴァン・メネセスCEO)が、1983年に閉鎖されたスコットランドの二つのウイスキー蒸留所を再稼働させると発表した。
ポートエレン(Port Ellen)蒸留所とブローラ(Brora)蒸留所は閉鎖されてから34年が経っており、ここで生産されたウイスキーは、その品質が高く評価されている。ウイスキー愛好家の間では幻のウイスキーとして、またコレクターアイテムとして認識されており、長年にわたって蒸留所の再開が待ち望まれていた。この決定はシングルモルトスコッチウイスキー市場の堅調な成長と、新しいウイスキー消費世代を創造する機会としている。
スコットランド・アイラ島のポートエレン蒸留所とサザーランド東海岸のブローラ蒸留所では、閉鎖前の蒸留法や樽熟成などウイスキーの特徴を可能な限り再現するという。
ディアジオのグローバルサプライ・調達担当社長であるデイビッド・カッター氏は、「これらのスコッチウイスキーを象徴するような蒸留所を再開させることは、単なる蒸留所の普通の投資ではなく生涯に一度の機会」と語っている。
また、スコッチカテゴリーディレクターであるクリスティーナ・ディエズハンディーノ氏は「世界中のスコッチ愛好家に喜ばれる、新しいウイスキー造りに興奮している」と語る。
ディアジオが3500万ポンド(4600万ドル)を投資するこれらの蒸留所はディアジオで最小の蒸留所であり、年間の生産量は80万ℓ。計画の許可と規制当局の承諾、詳細な設計や施工、試運転を経て、2020年までに生産が再開される予定だ。
スコッチ・ウイスキー・ツーリズムの喚起
ディアジオ・スコットランドのイワン・アンドリュー局長は「スコットランドのウイスキーは貴重な輸出産業であり、世界で最も人気のあるスピリッツ。世界中から観光客をスコットランドに集めています。それは私たちが働く地域の経済やコミュニティにも大きな貢献をしてくれます」と語る。
グレンキンチー、ラガヴーリン、タリスカーなど、ウイスキーはスコットランドの最も貴重な観光資源の一つだ。ディアジオがスコットランドで生産するウイスキーの85%は海外に輸出されており、スコッチウイスキーの世界的な評判の高まりに伴い同地へのウイスキー・ツーリズムが確かなものとなっている。
ディアジオが所有する12のスコッチウイスキー蒸留所では、2016年7月〜17年6月の12カ月間の訪問者数が初めて40万人を超えた。この8年で2倍以上に増加しており、10年にわたって増加は続いている。ピットロコリーのブレア・アソール蒸留所には昨年、前年比7.7%増の7万5234人が訪れた。
今後のさらなるスコットランドへの訪問者、ウイスキー巡礼者の増加が歓迎されている。ディアジオは再開する二つの蒸留所にも来訪者を歓迎するビジターセンターを設置し、スコットランド観光の象徴的な名所として世界中の“ウイスキー巡礼者”を呼び寄せるつもりだ。