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新連載 新連載 桐明幸弘 大山美和 

「旅館の事業承継と地方創生について」 ~地域一体再生のご提案~ 

【月刊HOTERES 2017年10月号】
2017年10月06日(金)
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地域一体再生とは何か?
 
 旅館事業の再建と承継において、究極の切り札と考えるスキームについて、従来から私どもが提唱しているテーマについて説明してまいります。2003 年以降の事業再生支援の取り組みの中で何回か話題にのぼったテーマですが、成功例も失敗例もあります。それらの事例研究から始め、私どもが考える理想的な「地域一体再生」を実現するための政策的な提言などを含めて記述してまいります。この延長線上には、地方におけるDMO やIR 構想の問題があります。
 
旅館の事業承継における課題
 
 旅館業は、地方における基幹産業と考えられるにもかかわらず、地方公共団体の産業振興策が充分とは言えません。例えば、多くの旅館がその収益力に比較して非常に割高な固定資産税を課せられ、それがゆえに十分な設備投資ができていない現実があります。その結果として、旅館の経営状況は悪化し、過去の負債が返済できていないため債務超過となって、事業を後継者に譲ることができないという会社が多いと思われます。その他にも、以下のさまざまな事業承継の課題がありますので、それらの問題について解決策を提案してまいりたいと思います。
 
① 親族後継者が不在である(後継者の問題)
 息子や娘に事業を継がせたいと思っているが、本人たちはすでに大企業に勤務しており、会社を継ぎたいとは思っていない。では誰にどのように継承されるべきか。
② 後継者選定に迷っている(後継者選定の問題)
 例えば、息子さんが3人いて、事業(会社)を継ぐ意志はいずれもあるものの、誰が社長になるのか、どのように株式を分配したらいいのか悩んでいる。
 
㋐ 誰が経営を担うのか、すなわち次期社長を家族会議で決定して早期に承継準備に入ることが必要です。
 
㋑ また、きちんと遺言を遺しておかないと、相続の遺留分によって株式が分散してしまい、将来的に事業存続が厳しくなる可能性があります。
 
㋒ ファイナンスの観点から、有利子負債をいかに引き継ぐのかが焦点です。なぜなら、新社長は通常、銀行借入について個人で連帯保証を要求されるからです。
 
③ 会社が債務超過になっている。(過剰債務の問題)
 事業を継承したいと考えている息子がいるが、会社自体の財務状況が悪化していて、そのまま息子に借金を引き継がせることを避けたいという旅館は多いようです。地域一体再生スキームが最も有効に作用する問題で、しっかりと誌面を使って解説していきたいと思います。
 
㋐ 旅館業が債務超過に陥っている理由を過去の歴史から含めて解析し、その原因と解決方法について検証します。
 
㋑ 従来の旅館業再生の方法を解説し、それだけでは抜本的な再生が困難なことから地域を巻き込んだ地域一体再生のスキームを提案します。そこでは、旅館の経営者だけではなく、地方自治体や金融機関、仕入れ業者や農林水産業者までを組み込んだ全体的な地方創生の具体像をお示しできると思います。
 
④ 株式価値が高くて、相続税が払えそうにない。(相続税の問題)
 
 事業は順調であり、後継者のめどもたっている幸せなオーナー経営者が一番心配しているのは、相続税対策でしょう。びほう策ではない、真の相続・承継対策(経営権の承継、不動産資産の承継、顧客・取引先の承継などの事業全般にかかる承継そして、株主の地位の承継)について具体的な方法を考える必要があります。
 
⑤ もっと事業規模を増やしたい(事業拡大の問題)
 単純に現在の事業を承継するだけではなく、例えば相続税対策を兼ねて事業拡大(ほかの旅館やホテルの買収あるいは増築・改築など)を図ることを考えているオーナーさんたちがいらっしゃるかもしれません。その場合にキーとなるコーポレートファイナンスの活用方法について解説したいと思います。
 
⑥ 自分の代で事業を終結させたい。(廃業の問題)
 
 後継者もなく、事業を存続させる必要もないと考えるオーナー経営者の場合には、その出口戦略(引退・廃業の方法)について慎重に考える必要があります。なぜならば、多くの旅館が廃業し、街が廃墟になっている地域も存在しているからです。私どもが提案する地域一体再生スキームにおいては、廃業する旅館についての承継や不動産資産の処分なども可能となります。
 

 
旅館の事業承継と地方創生
 
 旅館の事業承継を中心とした地域一体再生を、地方創生に結び付ける具体的な提言をDMO やIR 構想との関係でまとめてまいります。
 
 次回からは、今回記載しましたテーマごとに記述してまいります。読者の皆様からのご意見も積極的に反映していきたいと思いますので、どうかきたんなくご意見を賜りますようお願い申し上げます。
以上
 

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