変化に追われるリーダーのための実践的イノベーションメソッドとして、ホテル業の事例にとどまらず、多く企業変革の現場から生まれた「チェンジング・メソッド」48 種を紹介します。
今回のポイント
適切な上限と下限の価格幅は
ニーズ以上の価値かを知ることだ
岡村衡一郎
(おかむら・こういちろう)
1971 年生まれ。亜細亜大学卒。㈱船井総合研究所を経て、2004 年㈱スコラ・コンサルト入社。120 社を超える企業変革を支える。「会社が変わるとは何か」、「人がイキイキ働くには何が必要なのか」を考え続け、「一品」という変革コンセプトを発見、体系化する。支援先の起源や今あるリソースを足場に、「あるもの」から「ないもの」を生み出す一品イノベーションに多くの経営者ファンを持つ。変わるためのテコをあぶりだす「経営者オフサイト」、「『一品』で会社が変わるワークショップ」を主催。著書に『一品で会社を変える』(東洋経済新報社)『30 代でチームのリーダーになったら最初に読む本』(同社)など
取扱商品の価格幅は今どれくらいだろうか。お客さまの購入単位商品(単品)の最下限価格と上限価格の幅は繁盛しているお店ほど広い。例えばお茶の専門店、下限が500 円、上限が4000 円と約8 倍。カメラの一番企業の写真プリントは10 円から1 万円まで1000 倍の品ぞろえがある。幅の広さは、お客さまのニーズに応える努力とつくる取り組みを繰り返していった結果である。
マーケティングの教科書には、お客さまを絞れと指南しているものもある。客層を絞って商売ができるのは人口の多いエリア、または、起業間もないころに市場に食い込む手法である。繁盛企業は業種業界に関係なく多くの客層に支持を得る。老若男女すべてのお客さまに思いをはせ、商品の品添えでお客さまに応えていこうとするし、新たな欲求を喚起し続けるからだ。