「ものづくり県 富山」。富山のものづくりは300 年以上の伝統を誇る売薬業に端を発する。豊かな水と電力という財産に恵まれ、電機や機械、医薬品などさまざまな業種が発展。日本海側屈指の工業集積県となった。高い技術を持つ中小企業を選定する「高度なものづくり技術を持つ企業(経済産業省)」では300社中29 社が選定されるなど、世界から注目されている。その一方でウエディング市場、業界は深刻な局面にあり、改めて晴れの日をお祝いする文化の認識と継承のために、2016 年6 月、富山県ウエディング協会が立ち上がった。
遠山 富山県は豊富な水や自然に恵まれ、人々の生活も豊かです。北陸新幹線の開業にともない、金沢と共に観光客も増えています。まさに活気にあふれている状況ですが、富山県のウエディングの状況はいかがでしょうか。富山県ウエディング協会を立ち上げた背景と共にお聞かせください。
西垣 結婚式を挙げる件数が年々減少し、婚姻届け出数の半数が入籍だけで済ませています。富山県においては婚姻前の同居率が4 割に達するなど、ここにきて生活スタイルの変化が顕著です。結婚式に対するとらえ方も変わり、結婚式を挙げなくてもいいという風潮が高まってきました。このままでは結婚式に関わる施設や企業の将来は決して明るくなく、何とか地域が一丸となって富山に伝わる結婚式の文化を継承させていくことが必要であると考え、富山県ウエディング協会を立ち上げることになった次第です。これまでは結婚情報誌の主催する年1 回のセミナーのときにしかブライダル関係の皆様と出会うことがなく、横のつながりがありませんでした。そこで情報交換をする場を作り、地域内のつながりを持つことが結婚文化の継承のための一歩として必要であると考えたのです。
遠山 では、どのような流れで設立を進められたのですか。
西垣 3 年前にエリアウエディング協議会を推奨しているタクティブレインの中村社長様にご指導いただき、すでに立ち上がっているエリア協議会を参考に一昨年前の1 月に準備を始め、半年で設立総会を行ないました。
遠山 確かに後発だからこそ、すでに立ち上がっているエリアの協議会の運営や組織作りを参考にして、導入すべきところを的確に見極めていけます。しかしエリアが一丸となるためには、どうしても行政の支援が必要となります。そこで富山県議会議員でいらっしゃる奥野様を会長として就任していただけるようお願いされたのですね。
西垣 おっしゃる通りです。民間だけで声を上げてもなかなか動いてくれません。行政の支援が不可欠であることを、他のエリア協議会の活動を見て実感しました。何とか行政の方々にもご理解いただきたいと思い、掛け合った次第です。