㈱バルニバービ 代表取締役社長 佐藤 裕久 氏
外食産業のイノベーションにチャレンジ
当社は2015 年10 月東証マザーズに上場させていただきました。『意外!』『一体なぜ?』『最も上場に向いてなさそうなタイプの会社なのに』『後悔するよ…』と多くの意見を頂戴しました。
皆さまのそう言ったありがたいご意見、ご批判(笑)、疑問を踏まえこの場所をお借りして少しだけIPO の理由を書かせていただきます。そしてそれこそがわれわれがイメージする10 年後へのアプローチでもあるのです。
もし会社の10 年後を考えなければこのIPO はありませんでした。例えば、資金調達上だけで言うとIPO は必要としない状況でした。その中でチェーンオペレーションロジックでもなく、業態としてのブランドの多店舗展開でもない一軒一軒手作りがごとく作る店のあり方は上場に適していない、ということは理解していました。
『マルチコンセプトだろ?』『◯◯社の小型版』『飲食でこの規模じゃねぇ…』、投資家回りの最中(いわゆるロードショー期間中)も初めは斜め視線で言われていました。しかし話を始めてものの5 分もたてば相手の体は徐々に前のめりに。
そうです、僕たちの思いは少し違う角度に立っていたのです。僕たちの仕事に向かう姿勢は既存の外食産業と言われる他社の中にあまり見ることはありませんでした。
僕自身が一号店を開業するまでは学生時代のアルバイトを除いて外食産業で働いたことがなかったこともそういう見方をすることになった要因なのでしょうが、進めば進むほどわれわれの歩む道、向かう方向性は良きにつけ悪しきにつけ、多くの同業と言われる会社とは違うものなのだなと認識するようになりました。
何年で何十店舗、何百店舗出店、売り上げ何百億何千億…、われわれは目指したことも、表明したこともありません。投資家の方々に来期の出店計画は? 予算は? と聞かれて明確にしているのは契約を終えた、もしくはほぼその状況にある走り出している物件とどんなプロジェクトを進めたいかのみです。そしてそれを納得していただくためのIR 活動も積極的に行なっています。
それが可能になっているのは短期的事業展望や計画ではなく、『長期スパンにたった日本の外食産業の構造そのものへのチャレンジ』ということを多くの投資家の方々にご理解そして応援いただけているという本当にありがたい状況だからです。