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032 岡村衡一郎  サービス・イノベーション48手 ~現場と本部が一体で進めるイノベーション~

032 商品・サービス革新の善循環

【月刊HOTERES 2017年02月号】
2017年02月17日(金)
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今回のポイント
思いが形になったものが商品だという前提に立ち、
深く、早く、回そうという意思で起こすのがイノベーション
 
変化に追われるリーダーのための実践的イノベーションメソッドとして、ホテル業の事例にとどまらず、多く企業変革の現場から生まれた「チェンジング・メソッド」48 種を紹介します。
 

Profile
岡村衡一郎
(おかむら・こういちろう)
1971 年生まれ。亜細亜大学卒。㈱船井総合研究所を経て、2004 年㈱スコラ・コンサルト入社。120 社を超える企業変革を支える。「会社が変わるとは何か」、「人がイキイキ働くには何が必要なのか」を考え続け、「一品」という変革コンセプトを発見、体系化する。支援先の起源や今あるリソースを足場に、「あるもの」から「ないもの」を生み出す一品イノベーションに多くの経営者ファンを持つ。変わるためのテコをあぶりだす「経営者オフサイト」、「『一品』で会社が変わるワークショップ」を主催。著書に『一品で会社を変える』(東洋経済新報社)『30 代でチームのリーダーになったら最初に読む本』(同社)など

 
 水に熱を加え熱湯に、やがて沸点を超え水蒸気に変わる。これらの地続きに見えながらも、水蒸気へ形態が変容するプロセスは、商品・サービスのイノベーションプロセスと似ている。商品のブラッシュアップをし続けた結果、ある境を超えたところで大きく変わる。例えば、トヨタカローラの延長線上にプリウスへの飛躍があったようなイノベーションである。
 
 長持ちする。コンパクトで使いやすい。燃費がよい。少し引いてみれば、同様のコンセプトがカローラにもプリウスにも貫かれていることが分かる。そして、初代プリウスの販売価格は21 世紀へGO、だから215 万円、赤字覚悟で決定できるのは、トヨタ自動車が掲げる世の中への役割「もっといい車、いい社会をつくろう」を取っていこうとする意思の表れだ。商品の背景に人がいる。人の思いがある。これらの前提が抜け落ちれば、商品・サービスは売り上げを取るための道具に変わる。業績向上をしたかのようにみせる粉飾は最たる例だ。イノベーションが得意な企業ほど人の思いや理念と商品がつながっている。ハイブリッド車への革新は、技術者の熱がこもった仕事とトヨタで受け継がれてきた理念の産物である。

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