時を経るごとに企業の仕組みは合理化、システム化され“勘”、“経験”、“度胸”といった要素は否定され、どんどん排除されているというのが現状ではないだろうか。一方で、リサーチを積み重ねたデータの裏付けがあれば完璧なものが出来上がるかというと、そうではない。データなどを活用した合理的な判断はもちろん必要だが、厳しい競争環境の中、最後に他社との差をつけるのは、自身の経験を裏付けにした勘とかそういったものなのかもしれない。
後にエルメス本社の副社長も務めた齋藤峰明氏が1998 年にエルメス・ジャポンの代表取締役社長に就任したとき、ある雑誌のインタビューで「ライバルはどこか」という質問に対し、「強いて挙げるのであれば『虎屋』だ」と答えたという。それがきっかけとなって生まれたのが齋藤氏と虎屋の代表取締役社長 黒川光博氏の著書『老舗の流儀 虎屋とエルメス』(新潮社)という本だ。今回はその一部を紹介させていただきたい。「勘で判断をすることが大事」という中で以下のようなやり取りがなされている。
FROM THE PUBLISHER ——太田 進——
“勘”で決める
【月刊HOTERES 2017年02月号】
2017年02月10日(金)