状態目標と数値目標の設定
経営理念をベースに置きながら、年度ごとの事業計画には必ずゴールとプランニングが欠かせません。当然事業再生においても、100 日プランを作成する上でも目指すべきゴールの設定は重要になってきます。その中でも、お客さまに提供するQuality(品質)・Service(サービス)・Cleanliness(クレンリネス)に対する状態目標と店長や支配人が管理すべき数値目標は重要になってきます。それは、目指すべきその年のゴールを全員が共有するということでもあります。ここを曖昧にするから、印象や雰囲気で店長や支配人たちが仕事をし、その結果に対するフィードバックも印象や雰囲気になるのです。もちろん、店長や支配人たちにはレベル間のバラつきの問題はあります。ここは当然調整が必要になってきます。しかし、全体として毎年レベルを上げるためには、年度ごとに共通した状態目標と数値目標を設定することで、全体間としてのレベルアップを図ることができます。ここで図表1. 状態目標と数値目標を参考にしてください。
状態目標と数値目標は毎年改訂
設定した状態目標と数値目標は、その年度のゴールであって、その目標が永遠ということはありません。それは、年々高まるお客さまの満足度と収益性向上に取り組むためでもあります。そのとき、お客さまの要求水準の半歩先、前年利益の二ケタ成長を行く基準で設定できればベストです。ここで図表2. 理想的なQ・S・C のスタンダードレベルの変化を見てください。見てお分かりの通り、お客さまの満足度レベルより提供するQ・S・C のレベルが高ければ売り上げはプラス成長します。しかし、お客さまの満足度レベルが提供するQ・S・C レベルを超えてくると、そこからはマイナス成長の流れになっていきます。前年は悪い数値だから、今年は確実に前年をクリアできると思っていても、実はその前年すら行かない店やホテルが多くあります。一番の問題は、店のQ・S・C レベルやマネジメントレベルが進化していないことにあります。
図表2
愛される店づくり!
店やホテルは、年々成長したいものです。それは、その地域の人たちに愛され末永くご利用していただけるからです。それが、前年を割り続けているということは、お客さまが少なくなっているということで、その地域の人たちに愛されなくなってきているということです。店やホテルは、進化し続けてこそ存続が許されます。そのためにも、常にお客さまの要求水準の半歩先、毎年マネジメントレベルは上げ続ける、これを考え、そして、行動しなくてはなりません。このことは、ホテル&レストランすべてに共通して言えることです。
図表1. 状態目標と数値目標
平成29年度版
状態目標と数値目標
状態目標
※Quality(品質)
① 盛り付けは丁寧に、お皿はきれいに!
(出来栄えを全員確認)
② 熱いものは熱く、冷たいものは冷たく!
(温度確認の実施)
③ 料理とドリンクのスピード提供!(基本一品15分以内)
※Service(サービス)
① 元気と笑顔の徹底!(朝礼にてあいさつ訓練)
② 四つのお待たせしないサービス!(案内・注文・提供・会計)
③ 基準通りの身だしなみの徹底!(アピアランス基準の導入)
※Cleanliness(クレンリネス)
① 2S整理整頓の徹底!(赤札作戦の実施)
② サイドワークの徹底!(サイドワーク表の導入)
③ 手洗い・健康チェックの徹底!(チェック表100%実行)
数値目標
※原価(F)コントロール(目標理論差0.5%以内)
① 売上予測に基づく適正発注!(在庫日数2日以内)
② 売上予測に基づく適正仕込み!(一日3回仕込み)
③ レシピマニュアル通りの料理提供(全員レシピ確認)
※人件費(L)コントロール(標準労働時間比98%)
① 標準労働時間の導入と使用可能労
働時間の厳守!
② 一人二役・一人三役の実行!(多能工化の推進)
③ ワークスケジュールの完全活用!(作業割当の記入)
※水道光熱費ほか(目標対前年比2.0%削減)
① 節水・節電・節ガスを徹底する!(節シールの張付け)
② その他経費は、徹底したムダ取り(在庫と発注ルールの厳守)