いわゆる「観光立国」という言葉の意味を、それぞれの立場の方々が頻繁に使っている。「観光立国」の真の意味とは? そんなことを考えるとき、最も相応しい条件は、「外から内を観る」ということではないか。観光立国論に通底するインバウンドの急伸、日本固有のローカルアイデンティティといったコンテンツを、どう読み取り、どう解釈するかで、その方向性は異なる。私が常々思うことに、観光とは「コミュニケーション」ではないかということである。
その象徴がホテルやレストランビジネスという解釈である。普段、口にしない外国の料理やワインを楽しむ中で、その蘊蓄にこそ文化があり、その文化に触れることが観光の大きな意味となる。例えば、ホテルデザインの視座で言えば、やはり何百年という歴史を重ねてきた英国やフランスのホテルには、独特のホテルデザインが存在する。
FROM THE PUBLISHER ——太田 進——
「観光大国」という考え方
【月刊HOTERES 2016年12月号】
2016年12月02日(金)