- 「世界のリーディングホテル」
ホテルジャーナリスト - 小原 康裕 プロフィール
聖イサーク大聖堂から俯瞰した「Rocco Forte Hotel Astoria」の全景。聖イサーク広場にアールデコ様式の豪壮な姿で佇んでいる。左隣は姉妹ホテルのアングレテールホテル「Angleterre Hotel」
帝政ロシアの重厚な雰囲気が色濃く残る、アールデコ様式のアストリアホテル正面ファサード
ロッコフォルテの銘板を掲げた、いかにもロシアらしい雰囲気のホテル正面玄関
背後の巨大なタペストリーが印象的なレセプションカウンター
“ 革命の父レーニンが滞在した由緒正しき豪華ホテル”と謳われるサンクトペテルブルクの名門ホテルが「RoccoForte Hotel Astoria」である。創業は1912 年と古く、市内中心部の聖イサーク広場に面し、巨大な聖イサーク大聖堂が正面に望める。1911 年から1912 年にかけて、フョードル・リドヴァリの設計で建設され、全体的な建物の意匠は当時世界的に流行したアールデコによるものだ。1 階のロビーの天井には、ソ連時代の象徴であり、国旗にも描かれた「鎌と鎚」の装飾が施されたといわれる。また、サンクトペテルブルク建都300 周年に合わせて2002 年に全館リニューアルが行われた。現在、ホテルはロッコフォルテ・グループの傘下に加わっている。
帝政末期、1912 年の創業以来、多くの王族や政治家、著名人に愛されてきた。とくにロシア革命後、レーニンが滞在していたホテルとして有名である。第二次世界大戦のレニングラード攻防戦では、ナチスドイツ軍がこの地を占領した暁には盛大な祝勝会を、このホテルで行おうとしたとの逸話も残っている。皮肉な話だが、それが結果的にアストリアホテルのステータス性を証明していた事とも言える。グランドロビーにあるエレベーター脇にゴールドの銘板があり、アメリカのジョージ・ブッシュ元大統領や日本の森元首相ら各界著名人の名前も刻まれている。
クラシカルな雰囲気のステアケース
「Rachmaninov Suite」の玄関ホワイエ