メディポリス国際陽子線治療センター。陽子線治療を実施可能な施設は国内でも数えるほど。陽子線治療は 1 日1回、時間は 15 ~ 20 分程度。熱さや痛みを一切伴わない
日本でも、さまざまアクティビティーやヘルシーな食事などで構成された「ヘルスツーリズム」に関する話題は今や珍しくはなくなった。一方で、治療を要する渡航者に対して医療サービスを提供する「医療ツーリズム」については、高度検査機器を売り物にした健診ツアーなどを除き、あまり目立った動きが見られない状態が続いていていたように思える。そんななか、ここに来て医療ツーリズムに関する注目すべき事例が舞い込んできたので、今回の当コーナーではそれらをいくつか紹介する。
事例⑴ ㈱新日本科学
中国人富裕層を対象とした
医療を提供する会社を上海に設立
今年5 月、医薬品の前臨床試験大手の㈱新日本科学(本社:東京都中央区)が、上海世茂股份有限公司(本社:中国・上海市)との間で、中国人富裕層向けの医療事業を目的とする合弁会社「上海茂科有限公司」(以下、「茂科」)を上海に設立することで合意したことを公表した。
新日本科学は以前から医療ツーリズムのビジネス化に力を注いでおり、同社の所有するメディポリス指宿(鹿児島県)の敷地内にある一般財団法人メディポリス医学研究財団に所属する「メディポリス国際陽子線治療センター」で、国内中国人患者に対してがんの先進医療である陽子線治療の提供に加え、同財団に所属するメディポリス東京クリニックは、中国人患者の診療実施を望む、日本国内の10 以上の大学病院や大手の医療機関との提携を進めており、これらの医療機関に対して、茂科と協力して中国人富裕層の患者を紹介する計画だ。
今後、茂科は、メディポリス財団の上記二つの医療機関と業務提携契約を締結し、中国人患者に対して、健診、がん治療、病院紹介、医学コンサルタント、セカンドドオピニオン、治療後のフォローアップ支援などのサービスを提供する予定。