㈱スプリングフィールド 代表取締役 桃井文子
〈プロフィール〉岡山市の老舗旅館、岡山石山花壇(現在のザ マグリット)の宴会営業スタッフとして入社。その後、婚礼部門を強化するプロジェクトを成功させ、年間2 組から339組までを達成したのは業界でも有名。同社にてウェディング・プランナー、マネージャー、支配人、営業企画室長、役員として活躍。また、関連会社 グレート:プランニングにてコンサルタントとして、12 年間、全国の数々のホテル、結婚式場の再生、婚礼強化に携わる。プランナー教育、マネージャー教育、経営者の良きアドバイザーとして定評がある。平成23 年、スプリングフィールドを設立。経営コンサルタント、衣裳・美容の内製化支援、式場のプロデュースを中心に現在活動中。2013 年5 月には、ニューヨーク支社を設立し、現地でもパーティーやイベントを手掛け、日本のウエディング、パーティーを広める活動もしている。
オリンピックに向け、真骨頂であるおもてなし力を問われる日本。サービス面でもきめ細かい日本のサービスは世界一とも言われますよね。でも、現状はどうでしょうか。経営者である社長は自社の商品を把握し、自信を持って「我が社の商品は大丈夫」と言えますか? 究極のサービス業であるウエディング業界やホテル業界に焦点をあて、利用者の1 人として疑問を投げかけてみました。
先日、知人の娘さんのご夫婦と3 人で食事をする機会がありました。そのときの主な話題が、「結婚式って?」の話。疑問詞が付いているということは、つまり、結婚式という商品に疑問を投げかけられたのです。このシリーズで何度もお話したように、私はウエディング施設やホテルのコンサルタントをしています。適齢期の新郎新婦から「結婚式ってどうなの? 本気ででやりたいとは思わないんですが。どうしてあんなのお金をかけてやるのか理解できない。友人の結婚式に出席して本当につまらなかった。ウエディング業界、大丈夫なんですか?」と言われ、分かってはいたものの、悲しくなってしまいました。『オープニングからエンディングまでDVD を何度も流し、自分が、自分が、と新郎新婦が独りよがりの演出を行なう。わざわざお金と時間を使い出掛けているのに何だか取り残された気分、おまけに受付などの段取りも分かりづらく困ったんです』とのこと。
カジュアル化による単価の低下、参加人数の減少、視点を変えれば、現場のスタッフの育成不足なども大きな問題です。その結果、資本力のある大手が台頭し、そうではない施設は廃業に追いやられるという状態です。そもそも、現在の日本の結婚式は欧米の模倣。意味も分からず表面だけを取り入れた演出、利益を追求した営業スタイルです。