NPO 法人アレルギーっこパパの会
理事長
今村慎太郎
Shintaro Imamura
〈Profile〉娘の食物アレルギーをきっかけに、アレルギー対応力が高い企業が食物アレルギーのない人たちから選ばれる社会を目指し、2013 年NPO 法人アレルギーっこパパの会を設立。研修・講演、メニュー開発やコンサルティング、アレルギー対応のためのコミュニケーションWEBサービス「アレコミュ」で、ホテルや飲食店など外食企業のアレルギー対応支援を行なっている。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
http://www.arepapa.jp/
食品表示法において定められている魚類は「サケ」「サバ」のみです。しかし、すべての魚にアレルギーがあるという方がいます。「エビ」アレルギーの場合、「カニ」にもアレルギーがある方や、中には「甲殻類」全般にアレルギーがあるという方もいます。「ナッツ類」でも「クルミ」「カシューナッツ」のアレルギーの方には、食品表示法に定められていない食品にアレルギーがあるという方がいます。このように、実際は食品表示法で定められていないものにも反応する人が多く存在しますが、今回はこの点について、東京海洋大学の小林征洋助教授と行なった「アンケート調査およびアレルギー反応性に基づく魚類アレルゲンの抗原交差性」という共著論文を基に説明します。以下、耳慣れない言葉が多く出てきますが、アレルギー対応する上で、こういう人がいることを知っておくことは、食物アレルギーを理解し、対応する上で大切なことであると思っています。
交差性とは
まず、交差性というものについて説明します。分かりやすく言うと、「種が近いものはタンパク質が似ているため、反応する場合がある」ということです。一例をあげると、甲殻類である「エビ」アレルギーの場合、ほかの甲殻類である「カニ」や「ロブスター」にも反応する人が多く、牛乳のような乳製品にアレルギー反応を示す人は、「山羊乳」にも多くの人が反応するなどです。最近は、野菜や果物に反応を示す「口腔アレルギー症候群」の方と出会うことが多くなりました。当法人が開催するイベントには、必ずと言っていいほど、この口腔アレルギー症候群の方が参加されます。このような方は、複数の野菜や果物に反応することがあり、「もも」にアレルギー反応を示す方は、「リンゴ」「プラム」「ナシ」などバラ科のものに反応するというものです。ただし、気をつけてほしいのは、反応は人によって異なり、全員に当てはまるものではないということです。