2015 年の外国人来訪者数は2000万人の大台にはギリギリ届かなかったが、それでも前年に比べると1.5倍近い1970 万人に達した。そのために「宿不足」が深刻化し、「民泊」という言葉が一気にクローズアップされるようになったのは周知のとおりである。
政府の方針としては民泊を推進する方向で、東京都大田区のように特区による対応も模索されてきたが、さらに大幅な解禁も近いようだ。
しかし、民泊ではさまざまなトラブルが生じることが懸念されている。というよりも、すでに小さなトラブルは多く発生している中で、民泊を推進する流れが加速しているのが現状である。
そこで、インバウンドの玄関口である羽田空港の「羽田エクセルホテル東急」にて、民泊が広まることによる懸念を中心にお話をうかがった。
徳江 今日は北海道から羽田にご到着なさったばかりのところ、つかまえさせていただきました(笑)
桑田 お互い忙しいですね。
徳江 私はそうでもないですが、桑田さんは最近、全国ホテル旅館生活衛生同業組合連合会(以下、「全旅連」という)の青年部長として多忙をきわめていらっしゃいますね。
桑田 本当はこんなに時間がなくなってしまうとは思っていなかったのですが、例のインバウンド対応の件でバタバタです。
徳江 なるほど…ここは、羽田空港国内線のターミナルですが、それでも外国人の方は多く見受けられますね。
桑田 本当に多いですね。
徳江 こちらのホテル(羽田エクセルホテル東急)はご利用になったことはありますか?
桑田 いえ、ありません。
徳江 国内線ターミナルのホテルにもかかわらず、今は海外の方が2 ~ 3 割泊まるそうです。
桑田 そこまで多いのですか。おどろきです。
徳江 まさにインバウンドの最前線にあるホテルといえるかもしれませんね。ところで、全旅連における「民泊」に対するスタンスをご説明いただけますでしょうか?
桑田 特に難しいことを言うつもりはありません。お客さまをお泊めする以上、「安心・安全を保障する」ことが大前提だと言っているだけです。
徳江 民泊において、一番懸念されるのが、まさにその「安心・安全」のところですよね。
桑田 今の政府の方針で、民泊の利用者のみならず、周囲のさまざまな関係者が「安心・安全」であるとは、到底思えません。