インバウンドが急速に増すなか、日本人のみならず外国人にも高度なおもてなしを提供する体制を整えることが急務となっている。しかしながら、自国以外の文化や習慣などは認知がされておらず、語学面で整っていたとしても、ゲストと接するための一歩が踏み出せていないのが現状である。本連載では諸外国のお国柄をはじめ、それぞれの国のビジネスマナー、食習慣などにフォーカスし紹介する。
第8-1 回台湾
〈国民性〉
台湾人の気質は自己中心的で家族を大切にし、冒険心に富み失敗を恐れない人が多い。
言語は北京語(その他主要言語として台湾語、客家語)、宗教は仏教、道教、キリスト教などがある。
〈接待・贈り物〉
台湾では中国と一緒で客として招待されたときは、予定時間より早めに到着し晩餐会は6 時半~ 7 時の間に始まることが多く何時間もかかる。
ホストが最初に乾杯の音頭をとり、晩餐の間中乾杯をする姿が見られる。決してホストより先に飲んだり食べたりしてはいけない。メニューの品数がたくさん出されるので、最初から食べすぎないようにする。料理を全部食べてしまうのはホストが十分にもてなしていないことを意味し、失礼にあたるが、たくさん料理を残すのも失礼になる。
〈挨拶・ジェスチャー〉
最初の挨拶はうなずくことが一般的。お辞儀は何らかの儀式以外ではあまり行なわれない。握手もよく行なわれる挨拶の一つ。どういう仕草で挨拶してくるかを待ち、同じ方法で挨拶するようにする。
台湾人は会話中によくジェスチャーを使う。知らない人に触られるのを好まず、年長者や地位の高い人と接するときは特に気を付ける。
〈台湾料理と好む日本食〉
料理のスタイルで見ると、見た目に洗練された豪華な一皿よりも、むしろ庶民的な家庭料理を基本として発達してきており、家庭的で素朴な料理が多くある。
台湾料理の特徴として、比較的淡白で素朴かつ繊細な味付けの料理が多く、塩気も全体に抑え気味である点を挙げることができる。また、客家料理や日本料理からの影響も受けていることから、醤油、鰹節、シイタケを基調とした味付けや、乾物や塩漬けをよく使うといった点も指摘されている。一方で、油で揚げたエシャロット、ニンニク、メボウキ、コリアンダーなどといった、香りの強い薬味も好んで加えられる。
食材面では、魚・カニ・エビ・イカ・貝類など、新鮮な海鮮食材を豊富に使用すること、たけのこをはじめとする旬の野菜を使った料理が多いといったような点が大きな特徴である。
住民の多くは開拓民としてのルーツを持っており、食材をむだなく使うといった発想から牛・豚などの内臓や血液を用いる料理も発達しており、鴨の血餅、牛の胃腸の絲(スー、細切り)、豚の腎臓の麻油揚げなど、内臓や凝固させた血液を多用する料理が多い点も特徴として挙げることができる。
肉類では豚肉が中心であることも大きな特徴の一つで、現在台湾でポピュラーなメニューとして定着している牛肉麺など牛肉を使う料理は、基本的に戦後中国大陸からもたらされたものである。
そのほか宴会料理では、潮州料理と同様にフカヒレやツバメの巣もよく使われている。医食同源の思想が深く、漢方薬も料理の材料として用いられることなども特徴である。
健康上や宗教上の理由から肉や魚を使わない素食(精進料理)も台湾ではよく見られる。日本の素朴な精進料理とは異なり、豆腐やグルテンを用いて作られた素鶏、素魚、素肉と呼ばれる本物そっくりなモドキ料理が特徴である。
料理一つ一つの分量があまり多くなく、清粥と一緒に食べさせる郷土色豊かな「小菜」(小皿料理)があることでも有名である。また、古くから外食文化も盛んであり、夜市に代表されるような路上の屋台でも多彩なメニューを楽しむことができる。
台湾では元々の郷土料理に厦門、泉州、漳州に由来する福建料理が混ざったものが伝統的に作られており、一般にはこれらの様式の料理を指して「台湾料理(台菜)」と呼ぶ場合が多い。
好む日本食に関しては、昔から中国人や台湾人の華僑が日本に住み着き、中華料理も日本人好みの味にあわせていたこともあって、日本食をすべて研究しつくしているという感じはあるが、特に最近の台湾人は日本のテレビ番組のほとんどが現地のテレビで放映されているため、最新の日本での進化した北海道から沖縄までの日本食関連プログラムですべてを知りつくしていると思っても過言ではない。