非常に美意識の高いLGBTQ+当事者による発信で優良ゲストの獲得へ
総会の開催に当たってはまた、大阪以外の都市の協力も不可欠だった。会議の前後にメディア、インフルエンサー、バイヤーによる視察旅行(FAM トリップ)が日本各地で行なわれるからだ。「福岡で開催される『九州レインボープライド』というイベントへの参加をはじめ、富裕層を意識した体験等を各自治体さんが考えてくださっています。総会自体もそうですが、この視察も日本への集客効果につながるんです」と大阪観光局の立石衣利子氏は語る。
なぜなら、総会で出会う LGBTQ+当事者メンバーは総じて美意識が非常に高く、ホテルの清潔感や匂いなどにも非常に厳しい。そのため、彼らがサービスや設備を認めて発信することで、世界中のLGBTQ+当事者のネットワークに大きな影響力を持つのだという。また、同性パートナーを持つカップルに関してはダブルインカムの方が多いため、富裕層が多い傾向もある。つまり優良なゲストを獲得できる可能性が高いのだ。
ただし、そこで期待外れのサービスを受けると逆効果で、日本、大阪の評価は下がってしまう。LGBTQ+当事者に NG なサービスとはどのようなものだろうか。「例えば男性二人がベッド1つの部屋をオーダーしていたのに、良かれと思ってツインの部屋を提供した、などの事例があります。また旅館では、浴衣の色が男女を想定した色とサイズで用意されていた事例も。対応済みのところも多いかもしれませんが、基本として伝えさせていただいています」と立石氏。他方で、ホテルのスタッフに関しても、LGBTQ+当事者の採用や、かける言葉への配慮が必要だと話した。
IGLTAの総会開催は2024年10月だ。その後大阪は、万博、IRなど、ますます海外からのゲストを迎える機会が増加する。このタイミングで「LGBTQ +フレンドリーな都市である」と世界に発信する意味は小さくないだろう。だが総会はあくまでも通過点であり、真にLGBTQ+に友好的な都市になるためには、ホテル 1 軒 1 軒、サービスマン一人ひとりの意識改革が必要となるに違いない。IGLTA 総会は、参加費を払えば誰でも参加できる。この機会に世界のスタンダードを知り、自社のサービスや社内体制を今一度考える必要があるのではないだろうか。
公益財団法人 大阪観光局
マーケティング戦略部長
牧田 拡樹氏
通信キャリア勤務を経て(公財)大阪観光局で Wi-Fi 立ち上げを任される。担当 1 年目から「Osaka Free Wi-Fi」をスタートさせる。このほか、情報発信・観光インフラ業務を兼務。2017 年 4 月より新設されたマーケティング室の室長を務め、2022 年 4 月よりマーケティング戦略部長として局内部署間連携の業務に就く。IGLTA 誘致を 2018 年から行なう。
公益財団法人 大阪観光局
MICE 誘致戦略部 MICE 誘致戦略担当 兼 インバウンド誘致推進室
インバウンド誘致推進担当 課長代理
立石 衣利子氏
大学卒業後、台湾で 6 年間勤務。帰国後、大阪観光局に入職。様々な部署を経て、2021 年より MICE 誘致を担当する。2022 年 9月より LGBTQ ツーリズム担当。アライ※。
※アライとは英語の「同盟、支援」を意味する「ally」を語源とする言葉です。 レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャルなど、性的マイノリティの人達を理解し支援する人達のこと、またはその考え方を指します。
IGLTA2024 大阪総会
日程:2024 年10 月23 日(水)~26 日(土)
場所:スイスホテル南海大阪
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