喧騒の中にある香港に、静かで穏やかなデザインで独特の雰囲気を醸し出した
──リージェント香港の経営戦略と市場におけるポジショニングを教えてください。
今の香港は勢いがあるので、地域のお客さまの獲得が第一の戦略になると捉えています。その上で中国や北東アジア、東南アジアのお客さまともしっかりとつながっていきたいと思います。リージェントブランドと非常に強いつながりを持つ日本のお客さまとの関係性を再構築する動きにも、力を入れる必要があると考えています。
ラグジュアリーホテルが数多く存在する中で、私たちはリージェント香港をアッパーラグジュアリーのカテゴリーにポジショニングしています。独自の歴史と立ち位置を持つ他のホテルとの競合において、リージェント香港の優位性はベストロケーションにあると思います。特にこの4 年間、香港の中の香港とも呼ぶべき新しいハブ、新しいデスティネーションに成長したエリアに立地しているからです。
周辺エリアは、特に文化やアートのハブになっていると思います。複数のミュージアムがリノベーションを行ない、さまざまなショッピングモールもあるこのエリアは、多くの人々に「行ってみたい」と思わせる魅力に溢れています。そのハブの中心地のど真ん中に、リージェント香港は位置しているのです。
リージェント香港は、新しい考え方をマーケットに持ち込んだと言えます。デザイナーの盧志榮(ロー・チーウィン)氏が創り上げたデザインは喧騒の中にあるはずの香港に、静かで穏やか、控えめな色合いをもたらし、独特の雰囲気を醸し出しています。
リージェント香港に足を踏み入れると美しい階段と噴水があり、とても落ち着いた気分になります。そこで提供されるのは、さりげなく押し付けがまさのないラグジュアリーなのです。炎で仕上げたツヤ消しの花崗岩、天然オーク材、スプリットカットの「幻想的な」花崗岩のアクセント、磨き上げられたカラカッタ大理石の化粧台カウンター、家具調洗面台をすべて組み合わせ、平穏と静寂の雰囲気を作り出し、すべてのバスルームを真のオアシスにし、各客室内の私的な安らぎの場にします。そしてリージェント香港から見えるのは、地元の人たちの息遣いや生命力が感じられる日常のエネルギー溢れる風景です。
リージェント香港のデザインコンセプトは「コントラストの美しさ」です。ホテルから一歩外に出れば、香港の喧騒に没入することができますし、ホテルに一歩入ればラグジュアリーな静けさを味わうことができるというコントラストがあります。
一方でレストランやバーのデザインはデカダンなイメージで創られ、ホテル館内においても対照的な表現の美しさを体感できる仕掛けが施されています。6 つあるアウトレットは、ぜひ行かなければならないデスティネーションとして機能することになります。
このような独自の道を選択することができた背景には、リージェント香港が持つこれまでの歴史があります。最初の20 年をリージェントとして、次の20 年をインターコンチネンタルとして40 年の建物の歴史を刻んできましたが、その中で常にレストランは非常に重要な位置を占め、デスティネーションとして機能し続けました。新しく生まれ変わったリージェント香港のレストランは、人々に懐かしさという感情を掻き立てる場所であると言えるのです。
グランドオープン時には人々とリージェントが再びつながり、歴史の中で持ち得た感情をあらためて思い出していただく体験をしてもらう機会を創出しました。
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本記事は月刊ホテレス2024年4月号「TOP RUNNER」一部紹介記事です。
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