〜プロローグ〜
ホテル宿泊業が日本の観光立国戦略の要となる中、魅力的なゲスト体験とリピート率の向上は極めて重要である。今後、成功を収めるためには、ホテルが顧客に対して提供する価値を高め、忘れられない思い出を提供すること、高品質なサービス、快適な宿泊環境、美食、エンターテイメントなど、幅広い要素を通じてゲストの期待を超えることが不可欠なのである。そのためには、データ分析や顧客フィードバックを活用し、個別のニーズに合わせたサービスを提供することも必要。リピートゲストに対して特別な特典やプログラムを提供することで、長期的な関係を築き、そして、ホテルの持続可能性への取り組みや地元コミュニティへの貢献も重要となるはずだ。
総じて、ホテル業界はゲストに感動を提供し、特にインバウンド顧客には日本を再訪したくなる理由を提供しなければならない。これが実現すれば、日本の観光立国戦略の成功に寄与し、ホテル業界の盛り上がりをもたらすのは間違いない。本連載は、その成功策として CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)をホテル宿泊業に提案したいというテクノロジー企業代表が、業界を超えて熱いトークセッションを繰り広げるものである
イー・エージェンシー代表取締役の甲斐真樹氏がホストとなり、ホテル業界の『ポリマス(※多才で多岐にわたるスキルや知識を持つ人のこと)』を招き、おもてなしにデジタルを融合させるための最適解を求めて語り合う今回のシリーズ。第1回目のポリマスには、ハイアット セントリック 銀座 東京の総支配人、内山渡教氏をお招きした。
第一回 トークテーマ『ホテルは多数者とのコミュニケーションではなく、コアなファンへの丁寧なアプローチが必要ではないか?』
対談ゲスト ハイアット セントリック 銀座 東京 総支配人 内山 渡教氏 × 連載ホスト(株)イー・エージェンシー 代表取締役 甲斐 真樹氏
内山 渡教 氏
Tadanori Uchiyama
1998年グランド ハイアット 福岡に入社以来、国内外のハイアットグループのホテルで料飲部門、営業部門、宿泊部門で活躍する。2014年ライフスタイルホテルブランドの先駆け「アンダーズ」の日本初上陸となるアンダーズ東京で宿泊部長を務める。「グランドハイアット」「ハイアットリージェンシー」「アンダーズ」の各ホテルブランドでの運営を経験してきたキャリアをベースに、18年1月 22日に開業したハイアット セントリック 銀座 東京の総支配人に就任。現在に至る。
甲斐 真樹 氏
Masaki Kai
1970年大阪府枚方市生まれ。94年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後、95年よりインターネット上に独自のメディアを立ち上げ、広告ビジネスで創業。情報検索サイトやウェブデザイナーコミュニティメディア、メールを使ったマガジン発行などインターネットメディアを複数立ち上げる。その後、企業のウェブサイトの企画、プロデュースを行う。99年(株)イー・エージェンシー設立、代表取締役に就任。2007年からはこれからの時代を見越し、企業のビッグデータ活用や CRMを実践するためのソフトウェアを開発販売。さらには企業向けにビックデータ、AI活用、CRM、DX支援を手掛けている。