周辺人口と交通アクセスに恵まれ“記念日ホテル”として地元に愛された
----開業当初から、国内をメインターゲットにしようと考えていたのでしょうか。
ホテルにとって重要なのは、周辺人口だと私は考えています。たとえばリゾートホテルでは季節変動が大きいことがネックになりますから、オフシーズンに季節変動によるマイナスをカバーしてくれる地元の人口がポイントとなります。
その点、事業計画を立てる時点で神戸市の人口は約 150万人、兵庫県は約 550万人。さらにすぐ隣の大阪府は約 880万人。当時ラ・スイートが立地する神戸港は、1時間圏内に約 1500万人という大きな商圏人口を抱えていたのです。
もう1つのポイントはアクセスのよさです。陸路は高速道路の湾岸線と神戸線がありますし、海路については神戸港という国内有数の拠点があります。さらに空路については、開業準備を進めていた段階で 2006年の神戸空港の開港が予定されていたことから、将来的な利便性向上が期待できました。神戸は陸・海・空のアクセスの利便性が非常に高い場所と言えます。
こうした立地上のメリットを背景にしながら、開業からの 15年を通じてラ・スイートは新しい時代のニーズに応える魅力を伝えてきました。今の時代、ホカンスやメディテーション的な宿泊が求められています。
そうした流れに乗ることで、価格が高くても大切な日や特別なタイミングに泊まりたい場所として、ラ・スイートは地元の皆さまに認知していただけたのです。よく利用されるのはプロポーズや記念日で、中でも結婚記念日が最も多くなっています。
----ラ・スイートの未来像を、どのように描いていますか。
将来に向けての経営方針においても、私は売り上げ規模や出店軒数に一切興味がありません。数値目標を追い求めるよりも大切にすべきなのは、お客さまの評価です。高く評価されるクオリティーを維持することで、お客さまと長いお付き合いをすることがこれからも経営の軸となります。
(株)ラスイートはオーナー企業ですから、今この瞬間に投資をすればお客さまの満足度を長期的に向上させることができると思えば即座に実行できます。 ラ・スイートが参考にしているヨーロッパのラグジュアリーホテルは、昔から単体で長い歴史を刻みつつ、高いクオリティーを維持しています。日本の老舗旅館も同様で、チェーン化することなくそこにあり続けることで価値を保っています。ラ・スイートもそうしたあり方をベースにしながら、これからも歴史を刻んでいきたいと思います。