日本の宿文化のおもてなしの心でお客さまに合わせたサービスを提供
----開業 15周年を迎えたホテルラ・スイート神戸ハーバーランド(以下ラ・スイート)の歴史を教えてください。
ラ・スイートが立つ土地は、もともと神戸市の駐車場でした。1995年1月に阪神・淡路大震災が発生しましたが、それから10年経った2005年に神戸市の人口は150万人に戻り、マイナスからゼロに戻してきた震災復興の次のステージでは、賑わいを創っていく機運が高まりました。それがウォーターフロントエリアの再開発事業です。
そしてその1つの取り組みとして、駐車場だったハーバーランドの一角に集客施設を誘致するためのコンペティションが行われたのです。当社はオールスイートタイプのホテルを提案させていただき、幸運にも選ばれたことでラ・スイートを出店することになりました。
ラ・スイートは地元兵庫・神戸のよさを知っていただくために、開業時から食事のコンセプトに「地産地消=テロワール・キュイジーヌ」を掲げています。兵庫県中の生産者をシェフ、購買や広報のスタッフが巡り、兵庫県を形成する摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の5つの国割のフェアを1年間、順番に展開しました。さらに日本一の生産量を誇る酒どころである灘五郷の日本酒を客室のミニバーに入れて、兵庫の地酒を楽しんでいただいています。
終戦後、日本にはアメリカンスタイルのホテルビジネスが広がりましたが、一方で古い歴史を持つ日本の宿文化も息づいています。ラ・スイートでは日本の宿文化に根付くおもてなしの心を、接客サービスに取り入れる形を重視しています。
おもてなしのポイントは「お客さまに合わせる」です。大型のホテルチェーンのようにスタンダードを守るやり方ではなく、個々のお客さまが求めるものに合わせていく柔軟なサービスの提供がラ・スイートをラ・スイートたらしめています。
お客さまに合わせたサービスを続けていくと、融通が利く、機転が利く、目配りが利くという高評価につながります。ラ・スイートには作業する人間は要らない、サービスができる人間が必要なのです。作業員だらけのホテルはサービス業とは言えません。目の前のお客さまの心を察して、お客さまに合わせたサービスを実行すること。それがラ・スイートの接客のコンセプトであり、その原点には日本の宿文化があります。
日本のおもてなしの心を持ちながら、ヨーロッパのホテルのよさを取り入れることで、ラ・スイート独自の雰囲気を生み出しています。