ライフスタイルに寄り添った事業
----「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」の話に移りたいと思いますが、開業にするにあたって、なぜSDGsというテーマを選んだのですか。
京阪ホールディングスは運輸(鉄道)事業を110年以上前から地域に根ざして続けてきましたが、「次の100年」を考えたときに「もっとライフスタイルに寄り添った新たな事業を」展開することを決めました。それが、「BIO-STYLE」と呼ばれる事業です。
----開業時、反対意見は在りましたか。
このプロジェクトが始まった2014年(SDGsが国連で採択されたのが2015年)には「SDGs」という言葉も認知度が低く、オーガニックやエコも、お金がかかる割に収益は上がらないという意見が多かったのは確かです。また、開業した2019年12月からわずか2か月でコロナ感染症がまん延し、悲観的な見方が大半でした。しかしコロナにより、衛生面や自然の重要性が注目され始めたことで、このホテル本来の価値が輝き出し、注目を集め、ある意味コロナが追い風になったとも言えます。
----「自然にやさしく」がテーマの「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」があえて京都の中心地にあるのはなぜですか
確かに、大自然の中にある施設、はインパクトが大きいと思うのですが、どこであっても自然を感じられると心が落ち着くのだと思います。とりわけ都会の中心地であれば、なおさらではないでしょうか。世界を巡る、とあるベストセラー作家の方が当館にお越しくださったときに仰っていました。世界を巡った中でも都会の中で自然を感じられる宿泊はこれからますます需要があるし価値が高い、と。人々が求めているポイントなのだと思いました。
----どのような人がこのホテルに訪れていますか。
ここ最近は環境への取り組みについての好意的なコメントも増えてきましたが、コロナ禍では、「オーガニックを求めて」というお客さまより、中庭のキービジュアルなど施設の美しさに興味を持ってお越しになったお客さまが多かったという印象です。エコや環境への取り組みを全面に押し出すのではなく、キービジュアルや情報の入口で「素敵だな」と感じていただける工夫は必要だと考えています。
----もともとターゲットと定めていた人はどのような人ですか
「アーリーアダプター女子」という、良いものや新しい取り組みに対する感度が高い30代から40代の女性をターゲットにしています。情報をキャッチアップするのが早く、行動力がある女性です。現在はそのターゲット通りの顧客層になってきましたが、コロナ禍ではその層は行動制限もあり動けない人が多いと思いました。そこで、コロナ禍は思い切って20代のカップルや女性向けに発信する舵切りをしました。当時はアニバーサリー需要が高く、記念日や誕生日に数多く利用いただきました。サプライズオーダーが特に多く、装飾のお手伝いやケーキ手配が多い日は1日10件以上になることもありました。
----どのようなこだわりをもってホテルづくりをしていますか。
ホテルに限らず、施設(グッドネイチャーステーション)全体に流れるテーマですが「心と体にいいことを楽しみながら取り入れる」ということです。そして、滞在中だけでなく、お帰りになったあとも、その人の生活になにか持ちかえることができる体験、を心掛けています。