コロナ禍でも着実に成長を実現
----長引くコロナ禍もやっと出口が見えてきたというところまで来ているように感じます。2022年の業績を振り返っていかがでしょうか?
コロナ禍の当初は大きく業績が落ち込み苦戦をしましたが、すぐに感染者や帰国者の受け入れ獲得のために行政に働きかけをしたり、療養者の生活支援、消毒、さらには看護士の手配などの付帯事業も一手に引き受けるといった収益の確保の一方でコストセービングの取り組みなど、苦しい中でも俊敏性高くさまざまな取り組みをしてきました。
その成果もあり2020年を底に、2021年、2022年と着実に業績を改善することができました。まだ余談を許さない状況ではありますが、2023年度はさらなる成長を見込んでいます。
----コロナ禍で宿泊主体型の「クインテッサホテル」ブランドを「クインテッサホテル Comic & Books」へと業態変更し、それが奏功したとも聞いています。
はい、「クインテッサホテル Comic & Books」ブランドは新規開業であった「クインテッサホテル福岡天神 Comic & Books」で初めて取り組みました。福岡天神では新刊から昔懐かしの名作まで約8000冊を揃えた「MANGA Library」を設置し、宿泊のお客さまは無料で24時間、MANGA Libraryのみをご利用のお客さまは時間限定で1時間 500円でロビーや館内レストランで読めるようにしたのです(※宿泊ゲストは客室でも読める)。
これが若いお客さまを中心に大きくご評価いただき、クインテッサホテル Comic & Booksブランドはこれまでのクインテッサホテルブランドと違い、女性比率が高く若年層のお客さまに数多くお泊まりいただけるようになりました。
コロナ禍でしたので販売価格は当初低めだったので、ADRを上げていくことでまた客層が変わるのかという予想もしていましたが、結果そうしたことも起こらず、競合ホテルと比較して ADRは同等でも稼働率が高く、結果として高い RevPARを実現できています。この成功を受け、大阪や京都の既存のホテルをComic & Booksブランドにリブランドし、福岡天神同様にエリア内でも競争力のあるホテルへと転換することに成功をしました。
一方、私たちが展開するホテルの中には共用スペースが少ないホテルもあり、そうしたホテルでは MANGA Libraryを設置することができません。都市部での宿泊主体型ホテルの供給過多感がある市場でどのように競争力を高めるのか?その点で現在興味を持っているのはウェルネスおよびリラックスです。
例えば快適な睡眠を提供できる仕組みがあればそれは客室の中で完結します。「Sleep Well」には大きな可能性を感じています。また、大型のホテルでは温浴も含めたヒーリングなど、ウェルネスに力を入れていきます。
コロナ禍以前よりホテルの新規供給が続いていました。そしてコロナ禍に突入してややペースダウンしたものの、その状況は大きく変わってはいません。2022年は特に宿泊主体型というセグメントの中ではニーズのあることに取り組んでいかないと厳しい状況は変わらないと明確に認識できた年でもありました。
これまで弊社も含めて多くのホテルがプロダクトアウトだったと思っています。それでは競争環境が激しくなれば厳しくなる。もちろん、売り方など小手先の取り組みで一部の改善はできるかもしれませんが、本質ではありません。お客さまにとって良いものをいかに作るか。良いものとは何か、それを深く考える一年でもありました。