日本の地方に興味を持つ富裕層に向けてコーディネートできる人材が欲しい
----これからの時代を担う経営者に求められるものは何だと思いますか。
短期、中期、長期で物事を考えられる力ではないでしょうか。常に短期的な視点で足もとのことを考えつつ、同時に一歩引いたマクロな視点で中期的、長期的にどのマーケットをねらっていけばいいのかを考える姿勢が求められると思います。中期的、長期的に予測される需要を見定めて、そこから現状を見返すことで、短期的に今やれることを進めるというやり方が重要だと考えています。
また、余白の部分で “遊ぶ ”ことも大切です。確実性がない部分であっても、挑戦してみる発想も持ち続けるべきだと思っています。
森トラストが展開している『イラフ SUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古』も、私の中ではチャレンジするという遊びの部分から生まれた施設です。かつては船でしかいけなかったけれども無料で渡れる橋が架かったことで便利になった、美しい海を持つ土地にたまたま出会ったことから始まったプロジェクトでした。
海岸沿いでホテル立地になる土地は日本全国津々浦々、少ないんですね。日本の道路のほとんどが海岸側にあるからです。海岸と道路の間の土地が極めて少ないため、ホテルを建てる立地が限られています。イラフ SUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古が立地する土地はその条件をクリアする希少な土地でした。
都会の人たちはエスケープできる場所を望んでいます。十分に満足できるクオリティーを持つ施設が整っていれば、周辺のローカルな環境を楽しむことができるのです。そのニーズに応えられる非常に魅力的な土地だったので、実験的にやってみようという発想でイラフ SUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古を創り上げました。
----日本人はもちろん、海外の方々にも喜ばれそうな施設ですね。
沖縄の海を見た瞬間、あまりの美しさに「この1枚の絵で勝てる」という感覚を持ちました。宮古島はすべて珊瑚礁でできていて、そして素晴らしく美しい海があります。
海外の方々に『翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル京都』の写真を見せると「ワオ!」と言いますが、イラフ SUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古の写真を並べるとさらに大きな「ワオ!」の声が出て、ものすごく行きたがります。見たことのない美しい景色を世界中の人々が求めているのだと、あらためて確信しました。
ところで海外の富裕層が「日本のさまざまな地方に行ってみたい」と思っても、各地方にはその旅行をアレンジして受け入れるだけのインフラが整っていないという課題があると思います。日本の地方に興味を持ってくださる富裕層に向けたコーディネートができる人材がもう少し出てきてくれると、日本の観光業界はさらに発展していけるのかもしれません。
---- 2023年を迎えて、森トラストがアピールしたいポイントを教えてください。
2023年夏に『紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良』を、奈良公園の西端に開業予定です。森トラストが 2017年に立ち上げたホテルブランド『翠 SUI』の3軒目の展開であるとともに、マリオット・インターナショナルの最高級カテゴリーブランド「ラグジュアリーコレクション」を誘致したダブルブランドホテルとして展開します。
歴史的な建造物が建ち並び、神社仏閣をはじめとする宗教的なもの、歴史的なものが散在する神聖な国立公園内の立地ということで、奈良県内の方々、日本国内の方々、海外の方々から見ても、とても魅力的な施設として認めていただけるのではないかと自負しています。開業に向けてさらに PRを強化していこうと考えていますので、ぜひご期待ください。
22年 11月 1日に伊達社長自らが発表した、森トラスト(株)が手掛けるホテルブランド『翠 SUI』の 3軒目展開となる『紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良』。マリオット・インターナショナルの最高級カテゴリーブランド「ラグジュアリーコレクション」を誘致したダブルブランドホテルになる。奈良公園の西端、約 9000坪の敷地に 8棟の建物が並ぶ町並みを形成し 2023年夏開業予定。※施設ビジュアルはイメージです