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2022年11月25日号 トップインタビュー オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ 三國清三 氏

2022年11月25日号 トップインタビュー オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ 三國清三 氏

【月刊HOTERES 2022年11月号】
2022年11月24日(木)
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料理人人生、次の章に向かう

----料理人人生の第二章はどのようなものになるのでしょうか?

まずは来年、四ツ谷のこの店のあった土地を更地にします。ここにはマンションが建つ予定なのです。その一方で、来年はとある商業施設で1000 坪超の大型店のプロデュースをする予定
です。

そして再来年の2024 年、私は70 歳を迎えるのですが、秋に四ツ谷のこの地に建ったマンションの1 階にカウンター8席の店をオープンします。この店が、私の料理人第二章の主な舞台。私自身が料理をして、お客さまをおもてなしします。今からワクワクしているんですよ。

私の誇りは、時代の第一線で店を続けることができたこともそうですが、それよりも、多くのミクニ出身のスタッフたちが今、外で活躍していること、そしてオープン以来のスタッフが7 名、今も一緒にこの店で働いてくれていることの方が大きいです。店は、やはり人ですから。
 
今、四ツ谷のミクニには約50 名のスタッフがいますが、彼ら彼女らは来年の大型店で引き続き働いてくれる予定です。
 
私が料理人人生の第一章を閉じることで、スタッフに迷惑をかけることだけはなんとしても避けたいと思っていました。なので、その点をうまく解決できたことに安堵しています。

 

最後は出し切って終わりたい

-----お話を伺っていると、どんな大きなピンチが訪れてもチャンスに変えてこられています。危機を跳ね返す、持ち前のパワーも大きいように感じます。
 
いや、奇策でしょうね。運もよかったのだと思います。
 
危機的な状況に置かれると、我々は客商売ですから、どうやってお客さまに来ていただこうか考えるわけです。そこで必死で考えてすり抜けてきた。今、過去をふり返ればうまく対応してきたように見えますが、もう、綱渡りの連続でしたよ。
 
あと、今日話したのは社会的背景からくる大きな危機でしたが、実は小さな危機も当然、長い年月の間にいろいろあったんです。そうしたものは、たいてい、勢いにのったいい時に起きている。有頂天になった時にね(笑)。

そんな経験を重ねて思うのは、120%でウワーッと進むのは危ういということ。人生には上り坂、下り坂、そして「まさか」という落とし穴がありますから。

なので今は90%で抑えています。そして余韻で100 に持っていけばいいと考えるようになりました。

----最後に、料理人人生第二章に向けた抱負をお聞かせいただけますか。

カウンターの店で、料理を一から十まで自分で作ってお客さまにお出しする。
それを、誠心誠意込めてできる8 席という規模で行なう。こういう料理人人生の閉じ方を、私は選択しました。

私が料理人になった15 歳の頃、料理人は流れ者というイメージで、「コック49で野垂れ死に」なんて言われる職業。
「料理人になる」と言ったら親に泣かれる時代があったのです。

そして私も業界を長く見てきて、現役バリバリで勢いあるのは50 〜60 代までで、その後をどうするかをしっかりと考えないと惨めなことになりかねないと思うようになりました。私も、今までせっかくキャリアを作ってきたのだから、それをどう終わらせようか考えざるを得ない。それで行き着いたのが、この選択です。

最後は明日のジョーのようにリングサイドで腰掛けて、出し切って終わりたい(笑)。料理人として悔いのない中で終わりたい。そう思っています。

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