2020 年東京五輪を控え、日本のホスピタリティー産業のインバウンドゲスト対策が以前にまして問われる中、2015 年1 月より日本での本格稼働をスタートしたモバイル学習ソリューションを提供するQOOCO(キューコ)。今回、QOOCO 社CEO、DAVID TOPOLEWSKI(デビット・トポルスキー)氏の来日に際しインタビューを実施した。
聞き手・本誌 太田進 構成 武田雅樹 木下賀文 撮影 林正
QOOCO CEO兼モバイル学習エバンジェリスト David Topolewski(デビット・トポルスキー)氏
学習したら、すぐに実践の場を設ける
太田 e ラーニングが世に出始めてから10 年以上たったかと思います。その中で、多くの企業がこの業界に参入してきましたが、e ラーニングを学習した多くの企業が成功には至っていないように見えます。
デビット さまざまな原因が考えられますが、1 番の理由は、トレーニングを受けた人が別のセクションに異動となった際、数カ月もすれば学んだことを徐々に忘れてしまうからです。学習後、実際に経験しないことには意味がありません。アメリカでは約1500 億ドルが企業内教育に費やされていますが、約90%がムダになっていると言われる程です。
しかし、環境はだいぶ変わってきました。最初にe ラーニングが始まった1990 年代当時に比べ、近年ではモバイルデバイスで簡単に情報を見ることができるようになりました。まるでビデオゲームのように、学ぶ人が興味を持つことができるコンテンツを作ることにより、より良い成果を出せるようになったのだと思います。
太田 御社は、世界中のホテルで、e ラーニングに関してヒアリングしていると聞きます。何か傾向は表れましたか。
デビット はい。ヒアリングした結果、売り上げに直結するサービストレーニングが世界で流行しています。
太田 具体的には。
デビット 例えば、トリップアドバイザーなどのクチコミ予約サイトを見た場合、ゲストがホテリエのサービスに満足したところが高い評価を得ています。ホテリエがゲストに細心の注意を払い、状況に応じたサービスを適切に行なうことで、ゲストからの高評価につながっているのです。これは一例ですが、結果としてアップセルにつながっています。前述のヒアリングをした際、私自身、このことを学びました。
世界の旅行動向を見ると、中国人観光客が世界最大のグループ客となっています。タイやバリではナンバーワン、インドネシアでも最多だったと思います。このような観光客に対して、コミュニケーションを図り対応することが求められています。
マネジャーが売り上げの最大化を図る上で、スタッフがゲストの要望を満たし、サービスを充実させるということがファイナンシャルの改善につながるのです。このことはコーネル大学とSTRの合同研究によっても明らかになっており、ソーシャルメディアランキングやRevPARといった点においても、良いサービスがより売上に貢献するということがはっきりしています。