従業員自身がESのあり方を考えることでダイバーシティーや資格取得を推進した
----レストラン部門の状況はいかがですか。
レストランに関しては、新型コロナウイルスの発生以前の状況までほぼ戻ってきていると言っても過言ではありません。少なく見積もっても売上は9割以上戻ってきています。
緊急事態宣言が発布されると客足がぱたりと止まり、宣言が解除されると急に予約が入ってくるという緩急のある動きがこれまで繰り返されてきました。企業は緊急事態宣言に従って活動せざるを得ませんが、そのような中でも接待でレストランを利用したいという企業の思いは見え隠れしていました。
そうした背景から、宣言が解除された途端に個室から予約が埋まっていく動きが見られました。ビジネス利用にもかかわらず、平日だけでなく土曜日の夜の予約も入ってきました。ただ、個室での食事の後に 2次会のためにバーに移動するという行動は少なくなりました。
----ES、CSの取り組みはどのように行なっていますか。
私たちのホテルでは SDGs推進室を創っており、各部門から推進委員を集め、そこで ESについても検討をしてもらっています。ESに関しては上から指示するやり方ではなく、従業員同士がどのような形で ESを推進すべきなのかを考えることが重要という判断からです。
その取り組みの中で、ダイバーシティーの推進や資格取得といった動きがしっかりと生まれてきています。従業員自身がどうすれば ESを達成できるのかを考え、どうやってそれを具現化するのかを追求する姿勢やプロセスを大切にしていきたいと思います。
CSについての一つの事例として、専用牛舎で飼育している黒毛和牛を一頭買いし「オークラ牛」として各レストランで順次スペシャルメニューを提供しています。おいしい牛肉をお客さまに楽しんでいただくとともに、生産から消費までがサステナビリティーにつながる活動を推進していければと考えています。
婚礼については創業 60周年を記念して、和洋中の料理長のコラボレーションにより、前菜からメインまで和洋中折衷の婚礼メニュー「コンチェルト」を提供していきます。The Okura Tokyoはすべてのレストランが直営であることから、このような新提案が可能となります。
----開業 60周年の記念イベントについて、どのような展開をしていきますか。
記念イベントの第 1弾として、2022年のゴールデンウィークにはソニー音楽財団とサントリー芸術財団主催で開催された「こども音楽フェスティバル」に共催し、当ホテルとしては初めてお子さまを対象としたイベントを開催し好評を得ました。
また、大倉集古館とコラボレーションして、2022年 7月に大倉集古館主導で沖縄返還 50周年に合わせた企画を展開します。芭蕉布の着物の展示とトークショーをホテルで行ない、ロビーのメインエントランス正面にある大花生け鉢に芭蕉を生けるなど、お客さまに楽しんでいただこうと考えています。
The Okura Tokyoは日本の美と心を追求してきた特性を生かし、ホテルと美術館が一体となった共催イベントを通じて日本の芸術と文化を全面に打ち出し、魅力をさらに力強く表現していきたいと思います。