地域に愛されるホテルを目指して
----国宝犬山城天守閣を背景に、ホテル敷地に隣接する国宝茶室「如庵」。近くに流れる木曽川、そして幅広い年齢層が訪れる城下町という環境に恵まれ、中京圏初のホテルインディゴブランドが誕生しました。はじめに岩瀬社長より開業への思いをお聞かせ下さい。
岩瀬 「ホテルインディゴ犬山有楽苑」が建つ敷地はもともと「名鉄犬山ホテル」が営業していた場所です。名鉄犬山ホテルは 1965年創業以来、2019年 8月の閉館まで犬山の地域の方々に愛されてきました。「ホテルインディゴ犬山有楽苑」ではそのアイデンティティを継承するとともに、ホテルインディゴブランドを通してこのホテルを世界に羽ばたかせたいという思いです。また、地域に愛されるホテルであるために、企画段階において地域住民の方々に何が必要かというヒアリングを行なった結果、人々が集う場所がほしいという声を多数いただいたことから、ホテルインディゴブランド初の試みとしてボールルームの設置に至りました。今でも「名鉄犬山ホテル」の知名度は根強いものがありますが、それは 50数年にわたり、スタッフ一丸となり地域とともに歩んできたからこそのことであり、この地域を愛する思いを継承しながら「ホテルインディゴ犬山有楽苑」では、より犬山に滞在する楽しみを提供するホテルにしたいという思いです。
----しかし、新型コロナウイルスの影響によりバンケット運営は厳しい現状があります。
岩瀬 収益率を考えれば宿泊部門やレストラン部門を充実させることがホテル運営の観点では良いという判断になりますが、名鉄犬山ホテルがなくなったことで人々が集まる場所が失われることは地元の方にとって好ましくありません。そこで、適正な規模として 100名ぐらいは集まれる場所を確保することは必要だと判断しました。宴集会はもちろんのこと、不測の事態が起きたときの避難場所としてご利用いただくなど、地域に欠かせないものとしてこれからも地域とともに共生していくために、ボールルームの設置に至ったのです。
柳島 まず初めに、このホテルインディゴ犬山有楽苑の開業にあたり、建物オーナー会社である名古屋鉄道の関係者の皆様を筆頭に、そのプロジェクトに携わった関係関連会社の皆様の絶大なるご尽力を賜りましたこと、そしてデザイン、設計、施工を、実施していただいた皆様に、心より深く御礼申し上げます。「ホテルインディゴ犬山有楽苑」は愛知県に存在する 3つの国宝のうちの 2つに隣接する稀有な立地にあります。また敷地正面には 1300年の歴史を持つ鵜飼が行なわれる木曽川が悠然と流れており、またさまざまな歴史を持つ遺構や明治村をはじめとする文化的施設も豊富にあります。そして何よりも犬山祭を始め、人の温もりをどこよりも感じられる地域だと思います。その一つ一つが地域の方にとっては誇りであり、その一員としてこの地に開業させていただき、とてもうれしく思います。
また同様に名鉄犬山ホテルも地域の皆様に本当に愛されていたと感じております。先日もホテルでご案内をしている際に“ここで息子が数十年前に結婚式を挙げたのよ”などのお客さまの声を頂戴し、その想いを引き継ぐ事には身が引き締まる思いです。 やはり地域の皆様に愛されるホテルとなる為にはネイバーフッドストーリー(※)をチームメンバーの皆が理解し、訪れるゲストに発信していく事が大切であると考えております。
最後にはなりますが開業に携わっていただいた皆様方の「夢と思い」のバトンを、しっかりと受け継ぎ、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンが、時を越える犬山で自分らしい快適な非日常を、展開して参ります。
(※)ネイバーフッドストーリーとは、ホテルインディゴブランドにおけるコンセプトの本質であり、その地域の文化や歴史など(ネイバーフッド)をサービスからフード体験、デザイン、ユニフォームに至るまで反映し、ホテルの建つエリアの刺激的な光景、音、味を体験としてゲストに提供することを指します。