■「箱根・芦ノ湖はなをり」に続く、新築物件として 2020年秋に開業した「箱根・強羅佳ら久」とはどのような旅館なのでしょうか。
箱根の中でも強羅は昔から高級別荘地として知られています。この地に新たに 2020年 10月に開業した「箱根・強羅 佳ら久」は、早雲山の中腹、標高約500mの谷筋の最も高い場所に建ち、晴れた日には遠くに相模湾も望めるという絶好のロケーションを誇ります。客室は全室に露天風呂がつき、展望露天風呂や貸切風呂など多様なお風呂をご用意しています。料飲はメインダイニングの和食とグリルレストランの 2カ所あり、宿泊ゲストが滞在中に自由に使えるゲストラウンジも備えています。
「箱根・強羅 佳ら久」は、2017年に開業した「箱根・芦ノ湖 はなをり」に続く、オリックス不動産が開発から手掛けた、箱根で2軒目となる旅館です。
「箱根・芦ノ湖はなをり」はビュッフェレストランのあるカジュアルな旅館ですが、それとは一線を画す、日本旅館とラグジュアリーホテルのよさを兼ね備えた高級旅館という位置づけです。
新ブランドで開発から手掛けるということで、開業前から業界で注目されていると感じていました。ソフトやアメニティ面をどうしていくか、具体的に絞り込みを図ったのは開業の 1年半ほど前からです。そのころからSDGsという意識が高まり、弊社でも積極的に取り組むべく、ソフト面での強化を図りました。客室アメニティの選択に関しても、パートナー企業からの提案に加え、私自身も積極的に展示会へ出向き、手に取って実物を確かめるなど、細かく決めていきました。
■バスアメニティのパッケージは、バイオマスの包装紙にベジタブルインクでプリント、また FSC認証を取得した製品を採用していると聞きました。
当館のメインターゲットは旅慣れたアクティブシニア。温泉好きで、一軒の宿に 2.3泊してホテル滞在そのものを旅の目的にする方々です。本物志向で意識の高い方々をお迎えするのに最適なものという視点で考えて、客室アメニティ全般をそろえています。使い捨てになりがちなバスアメニティに関しては、SDGsとの矛盾をどう克服するか悩みました。パッケージをビニールでなくバイオマスの包装紙にし、ベジタブルインクでプリントするだけでなく、例えば、家のリビングでも履けそうなふわふわのスリッパや、5枚刃のシェーバーなど、使い捨てするにはちょっともったいない、家に持ち帰ってまた使おうと思っていただけるクオリティーの商品を採用しています。
さらに、サービス業ではお客さまの満足度を高める努力をすることはもちろんですが、私どもは、お客さまの不満足(=マイナス)を減らし、“ストレスを感じない ”滞在スタイルを常に意識して取り組んでいます。客室アメニティに関しても、肩掛けタイプのサコッシュは、館内を歩く際に持ち歩く小物のサイズから計算して作り上げたオリジナル、和のバスローブは軽さと着心地を重視し、京都に発注して誂えました。
今やクローゼットには欠かせない「消臭スプレー」については、消臭剤メーカーのエステーが発売する、 “ホテル客室専用消臭剤”「Air Forest Botanical」の採用を早い段階から決めていました。
消臭効果はもちろんのこと、世界的な認証機関である COSMOS認証を受けた天然由来香料を使用していることや、日本初のエコマーク認定ボトルである点など、まさに客室に置くべきアメニティだと感じました。
作務衣など部屋着に関しては、フリーサイズにせず、客室にはお客さまに合うものを用意しています。そういった場合、Mと Lなどすべてのサイズを置き、お客さまに自分に合うサイズを選んで使ってもらうのが一般的かと思いますが、もし最適なサイズをご用意できれば不要なランドリー機会も軽減できるのではと考えました。そこでコスト面だけでなく、洗濯という環境負荷を解消するためにも、予約時にスタッフがお客さまに身長などを伺うようにしています。
客室は 70室あるため、オペレーションの手間は増えますが、お客さまとのやり取りの一端にもなりますし、より快適なものをご用意できるコミュニケーションだと思っています。
パッケージや素材に配慮したアメニティ類や浴衣を用意したほか、同施設の取り組みは紙やタブレットではなく布に印字し洗濯して使用している。またバスローブではなく、ガーゼ生地の湯上り着を採用した