ホテル内のすべての資産をサービスに
転換し何でもデリバリーする
▶地元の病院との提携を図っていると聞
いています。
コロナ以前にホテルの近隣に日本人の看護師がいる国際病院と提携することで、日系ホテルとしてお客さまの怪我や病気に対応するサポートに役立つのではないかと発想しました。提携の検討を進める中でコロナが発生したため、PCR 検査のホテル館内での実施など話が発展していきました。
提携先の病院は、ビジネスとしてメディカルツーリズムに力を入れています。コロナ禍で海外に行くことが難しい中、世界第4 位の人口を誇るインドネシアの富裕層に向けた医療サービスの提供を充実させることで、新たな需要が掘り起こせると考えました。メディカルツーリズムでは滞在が発生しますので、病院にとってのお客さまを私どものホテルが受け入れ、病院とホテル間の送迎サービスも行なう形の検討など提携の幅は広がっていきました。
▶利用促進プランの拡充は、どのように進めていますか。
最初に始めたのはフードデリバリーです。レストランで待ち構えていてもなかなかご来店いただけませんので、デリバリーサービスの会社と提携してホテルの料理を宅配するサービスをスタートさせました。そこから派生して、ハウスキーピング、シェフ、エンジニアなど、ホテル内のすべての人材を活用し、デリバリーサービスとして提供する方向性で発展させていきました。
バリ島はヴィラが多く、国内旅行の滞在先として人気を集めています。そこでヴィラのオーナーに向けてホテルの専門的な知識や技能を生かした清掃や消毒、スパのマッサージ、出張シェフとサービススタッフの派遣など、ホテルのあらゆるサービスをお届けするビジネスを「Nikko HomeIndulgence」というサービス名で発案しました。コロナ禍において私どもは能動的に動くことで需要を創出していくしかありません。
ウエディングに関しては、最高級ラグジュアリーホテルが乱立するバリ島において独立型チャペルを持たない当ホテルは選ばれにくい環境にありました。そこで目玉になる企画を打ち出し、何とか需要を取り込めないかと知恵を絞りました。
調べてみると遊覧飛行のヘリポートがホテルの近くにあり、空の上からビーチに書かれた「Will You Marry Me?」という言葉を見せてプロポーズするInstagramの投稿を見つけました。これを応用してホテルのビーチにメッセージを書いて挙式前の需要を掘り起こすべく「Will You Flywith Me プロポーズパッケージ」として打ち出してみたところ、好調に引き合いをいただいています。
インタビュー ホテル・ニッコー・バリ ベノア ビーチ 総支配人 長谷部 昌也氏
バリ島の3地区をグリーン・ゾーンに認定 トラベルバブルに向けワクチン接種を優先
【月刊HOTERES 2021年06月号】
2021年06月14日(月)