コロナ禍では大きなダメージもさまざまなプランで集客を画策
---まずは昨年上旬以降、新型コロナウイルス(以下「コロナ」)の影響を受けたホテル業績について教えて下さい。
コロナの影響は昨年の3 月頃から表れ、従来は都内ではほぼ100%であったホテルの稼働率が約50%ほどにまで落ち込みました。その後4 月は緊急事態宣言の発出の影響を受け30%が底となり、5 月以降は1 カ月限定の「コロナに負けるなキャンペーン 第1 弾」などの施策によって、単価は下がったものの稼働は特に厳しかった都市部のホテルを中心に回復し、グループ全体では5 月に45%、6 月は72%まで戻しました。
その後、Go Toトラベルキャンペーンの開始もありましたが、アパの中核エリアでもある東京が除外されたことなどもあり7 月以降は60%前後から徐々に回復する形となり、11 月には70%、12 月以降はコロナの感染再拡大で63%前後に再度落ち込むなど短期的には厳しい状況となっています。
---コロナ対応では多くのホテルがさまざまな取り組みをしています。御社の取り組みについてお教えいただけますでしょうか?
コロナ対策はお客さまに安心して来ていただけるために重要なことです。アパホテルでは「with コロナ」の時代に合わせた取り組みとして、一般的な対策はもちろん、独自で接触感染、飛沫感染対策を強化した社内衛生基準を策定し、取り組んでおります。
社員の体調管理や消毒液の設置、飛沫対策パネルなどの設置はもちろん、組織として衛生検査組織を設置したほか、ホテルごとに「特別衛生検査官」というポジションを設置し、現場の運営に合わせた実践的な衛生維持管理を行なっています。
---コロナ禍において旅行需要が大きく減少している中で、まずは集客が重要です。その点での取り組みについて教えて下さい。
先ほどお話をした5 月10日より6 月末まで行なった「コロナに負けるなキャンペーン 第1 弾」のほか、第2 弾を8 月7 日から9 月末まで行ないました。第1弾は直接予約で2500 円(税サ込)?という採算度外視のキャンペーンでしたが、おかげでこれまでアパホテルにお泊まりいただいたことがなかった方にお越しいただけたり、アパホテルのアプリをご利用いただくなどアパホテルの経営において中長期的な視点では非常に大きな効果を得ることができました。それによって第2 弾は3500 円(税サ込)という価格で販売をいたしましたが、第1 弾でアパホテルを知っていただいたお客さまにお泊まりいただくなど、相乗効果を得ることができました。また、1971 年に弊社グループの前身の企業が設立されて本年で50周年を迎えることから、「アパグループ創業50 周年企画」を第1 弾から第3 弾まで行ないました。
---創業50 周年企画の中で、特にホテル業界に大きなインパクトを与えたのがVOD を無料化するというものでしたね。
弊社では全客室に大型液晶テレビを設置していることもあり、「お部屋はまるで貸し切り映画館」というキャッチコピーも含めて展開したところ、大きな反響をいただきました。
先ほどの弊社独自の衛生基準でお客さまに安心感を抱いていただけることも含めて、安心さ、快適性など、さまざまな形で「お客さまに選ばれるホテル」を目指している取り組みの一環です。