トレーニング強化で士気を高めサービスクオリティーをさらに引き上げる
----2020 年の実績、および21 年の予想含め、貴ホテルの営業状況を教えてください。
2020 年のホテルの売上高は19 年と比較して約30%減少しました。21 年も現状況が続く限りインバウンド需要は望めません。また台湾国内の需要も限られているため、推定稼働状況は20 年とほぼ同等になると思われます。20 年のホテルにおけるインバウンド比率は、3 ?5 年前と比べて約80 ~ 90%減少しました。現在の新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえると、今年も海外旅行は見込めないため楽観視できないと考えております。
そんな中、新型コロナウイルスの流行により引き起こされた収入の損失を補うための三つの戦略を掲げています。
① 「ホテルのソフトウエアとハードウエアをアップグレードする」
ハードウエアに関しては、ホテル内のさまざまな設備を更新および交換し、お客さまに最も快適な宿泊体験を提供します。ソフトウエアに関しては、従業員の教育とトレーニングを強化し、フロントスタッフ、レストランスタッフ、およびハウスキーピングのサービス品質を強化します。細心の注意を払うことで、滞在するすべてのお客さまにアンバサダーホテルの理念、つまり「わが家」の概念を深く感じていただくことができます。
②「 国内旅行のビジネスチャンスを探る」
ミシュラン1 ツ星を獲得したA CUT ステーキハウスでの食事を組み合わせた1泊2 食プランやご宿泊時に家電製品をプレゼントするキャンペーン、また猫空ロープウェイ、台北市動物園などの台北観光スポットを組み合わせたパッケージなどで、台湾各地のお客さまを魅了できる宿泊キャンペーンを展開しています。
③ 「レストラン事業での収入の割合を増やす」
前出のように、新型コロナウイルス感染症の影響で台湾国民も海外旅行ができないため、予定していた娯楽費を贅ぜいたく沢な食事にシフトする傾向にあります。当ホテルには計六つのレストランと一つのベーカリーショップがあり、50 年以上の歴史を持つアンバサダー広東レストラン、同四川レストランとA CUT ステーキハウスもミシュランガイドに掲載されてます。三つのレストランは台湾北部では食通からも高く評価されていることから、インバウンドが見込めない今こそレストラン事業の収益増に注力すると同時に、これまでホテルにあまり接点のなかった個人のお客さまや若い層にアプローチしたいと考えています。
----最後に、ホテルの従業員に対してどのような措置を行なっていますか。
アンバサダーホテルも大きな課題に直面していますが従業員のリストラはせず、より質の高いサービスをご提供できるよう、これを機に社内トレーニングを積極的に強化しています。アンバサダーホテルの許育瑞会長は、人材育成と経験の継承を重視し、すでに何年も前から、「学習組織」として構築し、社員が仕事の中で学び、成長できるようにするというコンセプトを提案しました。現在二つの主要ポリシーのもと、従業員のトレーニングを強化しています。「積極的な中堅および上級幹部の育成」については、許 会長が台湾の有名な大学からマネジメント専門の教授をお招きし、中堅および上級幹部にリーダーシップの組織と管理、戦略的計画、マーケティング管理、ケーススタディなどに関する新しい知識を教え、あらゆるレベルの監督者の専門知識と管理能力を包括的に強化しています。
弊社の許 会長は、この度の苦難はホテル運営には大きな試練である半面、従業員の能力を向上させる絶好の機会でもあるとし、学生の適性や能力に合わせて1 対1 でカスタマイズされたカリキュラムを提案する「アンバサダーアカデミー」を設立しました。研修生は、クロスジョブトレーニングコースや部門異動にも参加するように手配されています。1 年後のテストに合格した者はすぐに昇進や昇給できることから、従業員の離職率は大幅に低下し優れたバックボーン幹部も数多く輩出できました。上級幹部は、職場のメンターとして、新世代の幹部に自分の経験を「伝え」、「一緒に教え共に学ぶ」という目標を達成することを目的としています。
このような状況だからこそ、クオリティーの高いサービスを提供し続けるための努力をし続けていきます。
観光やショッピングに便利な台北市の商業中心地に位置する「アンバサダーホテル」。東急ホテルズとの提携もあり例年、日本人の利用は多くを占めていた