封じ込めに成功した台湾との違い「国民一体、迅速な疫病対策」
----2020 年は新型コロナウイルスによるパンデミックで、世界中が打撃を受けました。半面、台湾の防疫対策が迅速でとても印象的でした。
台湾が封じ込めに成功した理由としては、2003 年のSARS での悲惨な経験があるからと言えるでしょう。以来、私たちはマスクを積極的に着用し、病院への出入りには必ず手洗いをするなどここ10 数年間で台湾国民の衛生概念は深く根付いてます。
台湾では疫病対策の信条として“事前展開”つまり迅速な対応を最重視しています。20 年1 月に台湾で最初の新型コロナウイルスの症例が発生した際、感染状況が深刻な国や地域へのフライトはすぐに停止されました。またこれらの地域を経由して台湾に到着した人についても、入国には14 日間の隔離検疫を必須とするなど水際対策をしっかり行ないました。政府の中央感染症指揮センターは毎日定例記者会見を開き、主要なニュースチャンネルやライブ動画配信サービスを通じて感染状況と対応策の進展を報告するなど、一般の人々がオープンかつ健全な方法で迅速に把握できるようにしました。また同センターは、テレビメディアを通じて継続的にマスクの着用、手洗いの励行を促進する広告を流しました。
政府では、マスクの氏名申告制購入を導入するとともにマスクを購入するためのシンプルで操作しやすいアプリを開発しました。これにより、すべての年齢層の人々がマスクを注文でき、注文したマスクを自宅近くのスーパーマーケットで受け取れることが可能になりました。こうした感染状況の中、行政機関の効率的な対応が実現できたのも、医療スタッフのたゆまぬ献身とマスク増産への尽力など、さまざまな分野の人々が職務を遂行した結果だと思います。感染拡大を防止できたのも、国民一人一人が自分たちの役割を果たし、新型コロナウイルスの流行に対して団結したことで成し得たのだと思います。
世界では新型コロナウイルスの「第3波」がまん延しており、2 月中旬の旧正月休暇に主要な観光名所が人々で往来する懸念から防疫は大変至難と思われます。したがって政府は、昨年末から感染対策のためのさまざまな規制について啓発活動を強化しています。特に宿泊施設、飲食店、百貨店などの大型商業施設では、氏名申告制、検温、毎日の定期消毒など、さまざまな感染防止対策を厳格に実施する必要があります。海外から台湾に帰国する人は、規制に従って14日間の隔離検疫を終えた後、さらに7日間の自主健康管理を行なうことになりました。ただし根本の部分がきちんと政府で管理されている限り、私たちは基本的には慌てる必要はないと考えています。
館内レストランの徹底訴求と国内旅行の喚起で乗り越える
----現在はインバウンドが見込めない中、どのような段階を踏んで「観光」に関する経済活動をしていくのでしょうか。
まずは「国内旅行を促進する」こと。台湾の都市や町の観光名所やルートを活性化し、交通面の補助を提供し、宿泊手当ての支給と組み合わせて、国内旅行者を全国各地に誘致していきます。次に、「料飲収益の増加に主眼を置く」こと。海外旅行ができない今、多くの人がレジャー費用の一部を飲食に充てることから、宿泊の営業収入の損失を補うためにも積極的に料飲収入を生み出す仕掛けをするところです。
また、日本の医療水準と環境衛生について非常に良い印象を持っています。私自身、日本を訪れる度に、町並みや公共施設が清潔で整然としていて非常に快適と感じています。しかし、今回の感染予防における日本政府の対応は、私たちが知っている日本とは少々異なる印象を持ちました。発生の初期段階では、政府はマスクの購入を制限していなかったため、マスクは瞬時に売り切れたと聞きました。 その後深刻な流行を抱える国々からの入国管理が遅れ、感染者の行動管理や追跡がさほど厳格ではなく感染が広がったことから、外国人の入国を全面的に制限するまでにかなりの時間を要したと感じます。日本の感染拡大には非常に驚いています。
----台湾では昨年春(4 ~ 6 月)に、政府から人件費の休業補償があったと聞いております。
政府からは昨年春に、観光・ホテル業に対し「第1 期」「第2 期」の計二回の救済補助金が支給されました。8 月に給付される「第3 期」に向けた補助金申請の受付がすでに開始されています。また、政府がホテル業界に対して協力を求めている政策には、救済補助金の受領期間中の解雇や減給の禁止、会社の従業員の権利と利益を完全に保護することが含まれます。雇用を守りながら乗り越えていくという状況です。