---なるほど。ところでそんなコロナ禍の中、「BLUE STAR BURGER」を始められました。経緯も含めお聞かせください。
「BLUE STAR BURGER」立ち上げについてはまず息子であり、ブルースターバーガージャパン代表取締役社長である泰生の存在がありました。彼は現在、大学生なのですが以前から起業したいという気持ちを持っており、私も内容によっては投資したいと思っていたので、いろいろとプレゼンを受けていました。また彼の起業においては飲食店経営におけるノウハウやマーケティングなど、私が今まで培ってきた経営者としての手法を伝えたいという気持ちもありました。次に私自身、以前からファストフード業界への参入を考えていた点があげられます。その際はDX を絡めた形で事業展開をしたいと考えていました。これは昨年、深圳の「ラッキンコーヒー」を視察して、お客さまへ還元し得るDX 事業の可能性に自信を持っていたので、日本での展開を文化的な背景も含め検討し世界的なシェアから考えてハンバーガーを商材として選びました。
カリフォルニアのハンバーガーチェーン「In-N-OUT バーガー」の事例から“おいしいものを出せばお客さまは購入する”という確信もありましたから、そこにフードテックを絡め、テイクアウト専門店にすることでさらに面白い展開がし得るのではないかと考えた次第です。そこにデジタルネイティブである息子世代の若い感性が掛け算されたことで今の業態ができあがりました。ですからアプリのプログラムは全面的に息子たちに任せていますし、デザインなども芸大の学生が手掛けるなど若い感性が生み出すものに委ねています。現在は今年3月に開催予定の「フランチャイズ・ショー」に向けてお客さまの声やネットでの投稿などを精査し、さらにお客さまに喜んでいただける仕組みを日々改善することで、より完成度を高めている段階です。最終的には2000 億円のマーケットを取っていけるかなと予想していますし、さらなるフランチャイズ業態についても既に始動しています。
---それはとても楽しみです。ところでいまだ続くwith コロナ、その先にあるafterコロナに対してはどのような見解をお持ちですか?
いずれも同様ですがオフィス街、特にランチ需要でもっていたエリアが以前と同じ状態に戻ることはないと考えています。繁華街の方がまだ可能性があるかと思いますが、それでも100%戻るのは難しいでしょう。春以降、ワクチンの増加や気候、オリンピックなど複合的な要素で景気自体はある程度回復するかと思いますが、リスクはコロナだけではないので今回の教訓をもとにリスクヘッジの選択肢を増やす準備を進めておくべきだと考えています。
---雇用や人材育成についてはいかがですか?
これはコロナということよりも時代という意味で、人間の本質はそんなに変わっていませんが、世代間の価値観の違いを大きく感じています。例えばわれわれの世代が若いころは矛盾を我慢したけれども、今の若い人たちは矛盾を我慢しないし、それを是正しようとします。それを生意気だ、けしからんと言っていても無意味ですし、逆にそこを理解しないということは“現代のお客さま”を理解しないことでもありますから経営者として失格ですよね。私はどの事業も常に“お客さまに喜んでもらえるコンセプトを広げたい”という軸を大事に展開しています。それには“現代”を理解している必要がある。そういった意味で若い人の流れを見るのは面白いですし、時代と必要に応じてパラダイムシフトし続けることは必然だと考えています。
---貴重なお話、ありがとうございました。