時短要請によって経済が停滞するのは
人間の体でいえば心肺停止の状態
——ショッピングモールなどに入っている店舗の営業はどうなっていますか。
ショッピングモール自体が営業時間を短縮するのであれば、私たちの店も閉めなければならないのは仕方のないことです。商業施設が「夜8時に閉めます」と言った時点でお客さまはいらっしゃいませんから、閉めざるを得ません。
——感染予防対策はどのような形がベターだと考えますか。
2021年1月に新型コロナウイルスで亡くなられた方々のデータを見てみると、死亡数の80%以上を70代以上が占めていることが分かります。対して20代で亡くなられた方は2人です。感染が拡大していることは確かですが、死亡リスクについては年齢によって大きな差があることは明らかです。
若い人たちの間で死亡につながるような重症化リスクが圧倒的に少ないのであれば、その層にできるだけ経済をまわしてもらう方法を考え、提示していく形が求められるのではないでしょうか。感染症を解決する手段は集団抗体を作るかワクチンを作るかしかないわけで、そのいずれかを確立させない限り、単純に「感染を止めよう」と言って一時的に抑え込んだとしても、緩めれば再び感染拡大が始まることになります。
重症化や死亡のリスクが低い年齢の方々に積極的に経済をまわしてもらい、免疫を付けて社会全体を防御していただく道を探ることは、経済を守るためにも有効な手段だと思います。感染者数の増加による過剰な恐怖心によって、そうした考え方があたかも悪のように扱われる現状はいかがなものかと感じます。
——自粛していただかなければならない層は、どのような条件の方々だと思いますか。
まず、ご高齢の方が重症化リスクの高い疾患をお持ちの方を守ることが大切だと考えます。
若い人であっても、両親や祖父母と同居している方々は行動に気をつける必要があるでしょう。昔の日本には自宅に離れがあって、流行病が感染しないように祖父母はそちらで暮らしてもらうという文化がありました。そうした古くからの知恵を応用して、2世代、3世代が一緒に住んでいる人たちに向けた感染予防のサポート体制を提供する動きがどうして国から出てこないのでしょうか。おかしな例えですが、手にできものができてしまったから腕ごと切り落とそうとするようなものだと、緊急事態宣言にまつわる対策を私はとらえています。だから納得がいかないことばかりだと感じてしまうのです。
経営や仕事が立ち行かなくなった方々が増えていく中で、2020年10月には自殺された方の数が2019年に比べて約600人増えたというデータも目にしました。死ななくてもいい人たちが死ななければならないような環境になってしまっていますし、このままでは状況はさらに悪化するだろうと危惧しています。
飲食業の営業に制限を掛けて結果として経済が停滞してしまうというのは、人間の体で言えば心肺停止の状態です。経済という社会の血液の流れを止めてしまうことで、たとえ新型コロナウイルスが収束してもそのときにはもう脳が復活できなくなるかもしれません。
現在の感染防止をこのまま続けていたら、やがて経済は死に絶えてしまうでしょう。だからこそ新型コロナウイルスに対してリスクの高いグループの方々をどのように守るのかに集中して取り組みながら、その一方で経済をまわす生活を進めていくべきではないかというのが私の意見です。
非常事態宣言下 緊急インタビュー
間違っていると思うことは世の中に訴え、考え方をシェアする姿勢が求められている
2021年01月21日(木)