数年にわたる大規模リニューアル その先に見据えるモノ
---2020 年4 月8 日、創業130 年を迎えるにあたり、さまざまな取り組みがあると伺っています。その中で数年にわたる大規模リニューアルは、目に見える形で大きな変化をもたらしますが、その特徴をあらためて伺えますか。
「京都における老舗ホテルとしての立ち位置を、今一度明確にする」、そのような想いを込め1988 年以来、2 度目の大規模リニューアルとなる今回の計画は、2018 年6 月に着工いたしました。客室の改装を第一期とし、レストラン、庭園、佳水園のリニューアルを順次実施(西館宴会場を除く)。新型コロナウイルスの影響によって一部工期の遅れなどもありますが、来春オープン予定のスパ・ジムの新設を以って計画完了となります。
国内外にその名を轟(とどろ)かせたいという想いを込め、「The Queen of Elegance(クイーンオブエレガンス)」をデザインコンセプトとしたリニューアルの客室における特徴は、客室数の変化とその広さにあります。本館の客室は2 部屋を1 部屋とすることで、平均客室面積を35㎡から50㎡以上へと拡張、浴室には全部屋独立した洗い場を設けるなど、お客さまニーズに対応した設(しつら)えとしました。村野藤吾氏設計の「佳水園」は、2 階にあった宴会場を客室へとコンバージョン、全部屋に天然温泉も引き込み、滞在価値を向上させました。1969 年、大阪万博のために増築された南館120 室はこれを機に解体し、最終的に499 あった客室数を266 までスリム化いたしました。
---大幅な客室減となりますが、「数」ではなく、「質と単価」を追求する姿勢の表れということでよろしいのでしょうか。
時代の変化という要因もあります。これまでは多くの客室と宴会場を有するホテルとして、さまざまなニーズに対応してきました。その上でホテルが有する多様性を長所としてきましたが、単価を引き上げたい場合など、長所が短所となるケースもありました。そして今後さらにゲストニーズの多様化が予想される中で、ホテルでゆっくりとした滞在をご希望されるお客さまのリクエストにお応えすることが、ウェスティン都ホテル京都にとって重要という点が注目されたのです。そして成熟したマーケットが「量から質」へと転換するように、私たちは「集中と選択」によって、これからの時代に、自分たちの価値や存在感を示していくべきだという考えにいたりました。
---リニューアルを経て、今年9 月よりサービス料の改定(10% から15% への引き上げ)も行なわれましたね。
お客さまに対しては、「より高い安心と安全の約束を」という想いを持っています。それと同時に、サービス料が上がればお客さまの期待値も必然上がりますから、私自身は言うまでもなく、サービスを行なう従業員にもそのことをよい意味でプレッシャーに感じて欲しいと思っています。