70% 程度を前提とした
オペレーションを組む
これらのガイドラインをすべて順守しようとしたらフルサービスのホテルや観光地のホテルなどは、現実問題として客室の100%稼働やレストランの既存席数の満席のオペレーションをしていては、困難ということになってしまう。衛生管理を徹底しつつ経営を持続させるためには、当面は客室もレストランも70%程度の稼働を前提としたオペレーションに切り替える必要がある。要するに安全を担保するために、当面は客数制限・入場制限をするということである。この場合の安全の担保とは従業員に対する配慮も必要ということでもある。客数を制限し売り上げが減少する一方で、経営を維持するためには売り上げに見合った経費構造にすることが重要となってくる。そのためにはコロナ前の手法に戻るのではなく、新たな運営手法の導入やスタッフ個々人の役割の見直しなども必要である。
弊社はコロナ前より効率的運営と人材育成による生産性アップということをクライアントと共に取り組んでいたが、今後はさらにその取り組みを追求していきたいと思っている。
一方で利用者側からするとホテルを選択する基準として「衛生管理の徹底=感染予防重視」ということが重要な要素となる。特に家族連れやレジャー客や外国人が多いホテルや旅館などは、少々価格が割高になったとしても宿泊したいというニーズが多く出てくるはずである。客数を抑えて消毒の徹底や3 密を極力少なくした対策や宿泊プランなどは早速商品化されるべきである。既にそういった商品や取り組みが多くの施設で行なわれているようだが、少なくてもコロナの完全終息宣言までは、ホテルを選択する際の基準として、価格・立地・ブランド・機能など以上に「安全・衛生・清潔」などが選択基準の上位になることも考える必要がある。むしろ客数を制限し単価を追求できるような衛生管理に特化したサービスや商品提供ができれば、今後新たな価値観として宿泊業界にとっても歓迎されるべきことでもある。
いずれにしてもワクチンや治療薬が一般に普及し、新型コロナウイルス感染症が通常のインフルエンザと同等の扱いにならない限りは感染症が終息したとは言えず、宿泊産業が本当の意味で復活することは困難と考えざるを得ない。一日も早く本当の意味で「収束」ではなく「終息」していただきたいものである。
ホスピタリティマネジメント㈱