「飲食業というのは小さく、強力な組合組織もない。政治とのつながりが団体とし脆弱な業界です。今後は一つの団体として未来を大きく見据え、飲食業の世界を下支えする組織へと成長させられれば」と山下氏。
新型コロナ関連ニュースまとめ 第13回
「個の集合」である飲食業界の声を「飲食未来の会」が都政、そして国政へと届ける!!
2020年05月13日(水)
HOTERESスタッフがお届けする新型コロナウイルス関連のニュース。第13回は毛利愼から、関連ニュースをご紹介します。
コロナ禍においる飲食業界からいくつもの署名サイトが立ち上がっている。今回は国際的に高い評価を持ち、日本を代表するシェフである山下春幸氏が代表発起人を務める「飲食未来の会」の活動について紹介する。
①それぞれの苦境
飲食業界と一口にいってもそこに属する業態は幅広い。しかしいずれの業態においてもこの新型コロナウイルスにより受けたダメージは未曽有の事態だ。大手ディベロッパーに出店している店舗は飲食店の営業が緊急事態宣言において営業自粛対象とならなかったにも関わらず施設が閉まることで家賃は発生しつつも営業継続が不可能となった。
一方、個店営業の店舗は営業判断こそ自社にあったものの外出自粛要請や相互監視による風評被害の懸念などの影響で厳しい経営状態を強いられた店舗も少なくない。倒産や失業の危機が日々現実のものとなる店舗が増える中、店舗はもちろんのこと、関連産業の救済も含め「HAL YAMASHITA」オーナーシェフの山下春幸氏が知古の飲食店経営者たちと共に「飲食未来の会」を起ち上げた。
②一日も早い事業存続を可能とする経済支援を!!
現在、日本における外食産業市場は25兆円強を占める。農業、漁業、畜産業をはじめとする関連産業も含めれば市場規模はさらに大きくなる。その中で多くのシェアを占めるのが個店や小規模経営の飲食店だ。コロナ禍が大事となるまで、彼らの存在は日本最強の観光魅力であり、本年においては“2020東京オリパラによるインバウンド収益を支える強いコンテンツとして大きな期待を寄せられていた。もちろんコロナ禍においてもその魅力は健在である。
しかし、存続についてはいまだかつてない危機を迎えている。中でも固定費となる家賃、そして人件費の問題は規模の大小に関わらず経営者たちにのしかかり、追いつめる要因となっている。本状況下において枯木竜吟の礎となるテイクアウト事業ですら収益は固定費を助けるには程遠く、行政による「デリバリー助成金」も苦境の助けとなるとはいい難い金額しか支給されない店舗も多い。いくら魅力が健在だといっても事業存続が難しくなればその魅力も消失してしまう。コロナ終息後に再建すればという意見もあるかもしれないが、それは絵にかいた餅に等しい。そこで「飲食未来の会」では
1.家賃補償に特化した80%以上の補助
2.通常の給与に準じた85%以上の補償と手続きの簡素化
を主たる訴求ポイントとして署名を集めている。1万筆が集まったところで行政に対する行動に着手するそうだ。起ち上げ当初、署名の提出先は小池百合子東京都知事宛にしていたが、現在では国政にも声を届けるべく調整している。また行政への働きかけを模索すると同時に会として関係者救済の試みにも着手している。そのひとつが関連事業者の商品を無人販売するマルシェの起ち上げだ。今後、社会貢献、営業支援も含めて、「飲食未来の会」で行える活動はさらに拡大していくという。
さらにファンドの起ち上げや寄付を募るシステムの構築などをすることで飲食ベンチャーの支援や活動にあて多角的に「飲食未来の会」として活動を広げ、飲食業にとって本当に必要な組織として活動していきたいと山下氏は語る。加えてニューノーマル時代の到来に飲食、宿泊、農業等の事業者と横の連携をとり独自の運営も推進していくという。
それにはなによりも今、生き残ることだ。
弊誌としても「飲食未来の会」の活動には大きく賛同し、読者のみなさまには応援をお願いしたいところだ。署名は下記のURLから行える。ぜひとも一人でも多くのアクセスを。
“食するということは幸せにつながる。その味と灯を街から消してはならない”。 一筆でも多くの賛同を飲食店の存続のために。
URL:「飲食未来の会」:
(レポート:毛利愼)