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2020年5月8・15日号 トップインタビュー 星野リゾート 代表 星野 佳路 氏

トップインタビュー 星野リゾート 代表 星野 佳路 氏

【月刊HOTERES 2020年05月号】
2020年05月14日(木)
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若い世代の旅行参加率を上げつつ、星野リゾートの生涯顧客も獲得する

---続いて、「BEB」についてお聞きしたいと思います。「BEB」に関してはインバウンドが注目される中でも実際の旅行市場の約 75%が国内需要であり、そこを活性化させるためには若者の旅行需要も喚起させなければならないというお考えのもと生まれたブランドであると認識しています。

その通りです。5年、10年後の日本を考えた時、旅行市場が現在の団塊の世代に依存している状態を脱却しなくてはならないというのは、今、日本政府が力を入れているインバウンドと同じくらい重要であると考えています。 一方で、星野リゾートとしても今の 20代、30代という若い人たちの旅行参加率を上げ、さらに早い段階で星野リゾートのファンになっていただき、お子様が生まれたら「リゾナーレ」に、お母様と旅行に行くときは「界」、さらには将来的に「星のや」にも泊まっていただければということを目指しています。 

---そして今回の BEBでは明確に 20代をメインターゲットとされ、「29歳以下エコひいきプラン」というものもつくられています。

20代を旅に連れ出す、ということを考えた時、彼らにとってマーケティングミックスの 4P*の中で「Price(価格)」がこのマーケットにおいては大事であると考えたわけです。だからこの世代には価格を年間固定にしようという話になり、おっしゃった「29歳以下エコひいきプラン」が生まれたわけです。結果、BEB5軽井沢に宿泊されるお客さまの約 7割が 20代となっています。

ターゲットを思い切って絞り込む二つのメリット

---「絞り込む」というのは「ややもすればターゲット以外のお客さまに来ていただけないのではないか?」と多くのホテルはそれを恐れ、絞り込むことに尻込みをしてしまいがちです。

ターゲットを絞り込むことは二つのメリットがあると考えています。
ターゲットを“思い切って”絞り込むことで、コンセプトが明確になります。それによってスタッフは発想する基準ができるのです。
 
例えば BEBのスタッフは 20代の人たちのことしか考えていませんし、青森文化に絞り込んだ青森屋のスタッフは青森文化のことしか考えていません。発想も「これが青森屋として良いのか悪いのか」となり、判断しやすくなります。
 
これを、「売り上げを上げよう」としてしまうと「これも売り上げが上がるし、あれも売り上げが上がる。どれがいいの?」とまとまらないし、ゲストから見ても何のホテルか分からなくなります。コンセプトを絞ることで、スタッフの発想がしやすく、ゲストにも分かりやすい良いホテルになるわけです。
 
また、ターゲットを絞り込むことのもう一つのメリットは、ターゲットを絞り込んだとしても、それ以外のゲストが来ないということはないということです。ターゲットを絞っても、それが明確に露出されて魅力的に見えれば、実は周りのゲストも来るのです。青森屋もそうでしたし、リゾナーレもファミリーに絞り込んだ結果、その魅力が伝わることでターゲット以外のゲストも来てくださるのです。
 
 「BEB」も20代に絞っていますが、実際にはそれを面白そうだと思っていただいた30代、40代、そして子連れファミリーのお客さまも来てくださると考えています。絞る時に「ほかのお客さまが来てくれないのではないか」という心配はしなくていいということです。


実際の BEB5軽井沢での 29歳以下エコひいきプラン(公式予約サイトより)

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