今までも触れてきたパークホテル東京でも旅館・菊乃家でも、組織図に表されている役割や責任は、最低限、担っていく範囲という認識で事業が営まれている。そもそも管理に向いている組織構造の中に、今までと同じ自分たちでいないための仕掛けをしている。例えば、全員で目的を共有していく仕掛け、部門を超えて商品・サービスを新しくしていくための知恵の場、現場で感じた変化のシグナルを出し合い意味を考える時間などであった。
使命を戦略的に実践していくためのチームになれているのが両社の特徴である。大目標は、今までのやり方を繰り返していくだけでは当然達成できない。イメージはできても、そこにたどり着く道のりがクリアではない状態だからこそ、一人でも多くの参画と知恵やアイデアがいる。逆にすでに分かっていることをいち早く実行に移していくには、ピラミッド構造を、そのまま生かしていくことの方に合理性がある。
自社で戦略と言われているものは、すでに分かっていることを効率的に実行に移していくための強化ポイントの羅列になっていないだろうか。もしなっているとしたら試行錯誤やトライなどはない方がいいという暗黙の前提が成り立つから、現場スタッフは作業者の方がいいことになってしまう。組織だけを取り出して活性化を促そうとしても、目指しているものの質が活性化しなければ到達できないものでないならば、実現する必然性がないから難しくなってしまう。目指しているものと目指し方の二つのリンケージが必要なのだ。