複数回にわたって、広島県宮島の旅館・菊乃家のイノベーション的取り組みを紹介してきた。本号は、これらのまとめとして、なぜ待ちの商売であった旅館が攻めの旅館に変われたのかについて考えていきたい。焦点は旅館・菊乃家が変化をし続けられる挑戦文化をなぜ育めるようになったかだ。
昔の話になるが、菊乃家でも多くの旅館にあるような部門の壁は存在していた。突破口になったのは陣屋というシステムによる情報共有であった。お客さま情報を共有できるシステムによって、聞いている、聞いていないなどから生じるもめごとはなくなっていった。
Profile
岡村衡一郎
(おかむら・こういちろう)
1971年生まれ。亜細亜大学卒。(株)船井総合研究所を経て、2004年(株)スコラ・コンサルト入社。120社を超える企業変革を支える。「会社が変わるとは何か」、「人ご意見・ご質問お待ちしておりますがイキイキ働くには何が必要なのか」を考え続け、「一品」という変革コンセプトを発見、体系化する。支援先の起源や今あるリソースを足場に、「あるもの」から「ないもの」を生み出す一品イノベーションに多くの経営者ファンを持つ。変わるためのテコをあぶりだす「経営者オフサイト」、「『一品』で会社が変わるワークショップ」を主催。著書に『一品で会社を変える』(東洋経済新報社)『30代でチームのリーダーになったら最初に読む本』(同社)など
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