インプットをし続けなければ常に回転している空間発想が停止する
----ホテルのインテリアデザインを創るために海外の見本市へも頻繁にいかれると伺いましたが、見本市では、どこにポイントを置いて、デザイナーとして良質なアウトプットにつなげていますか。
世界には多くの見本市がある中で、おそらく最も有名な「ミラノサローネ」に僕は毎年行っています。また、フランクフルトの生地の見本市「ハイムテキスタイル」、イタリアのタイルの見本市「チェルサイエ」なども頻繁に見に行きます。
そういった場所で見つかるのは普段目にしないものであり、僕としても新しいものを探しています。もちろん新しいから展示されているのですが、最近は情報が早いのでネットで見掛けるものもたくさんありますから、それでも見えてこないものを現地で探し出すのです。
1回組み上げたコンセプトが次第にマテリアルまで降りていくのですが、その過程で新しいものに出会うことで少しコンセプトから逸れる。でもそれに合わせてコンセプトにまた修正を加える。1つの細い軸だったものを少し太くして、その中に入れたいものを落とし込んで、それをまた研ぎ澄まして細くしてという作業をします。その過程でどんどん変わっていきますが、芯と軸は太くなります。その作業の中でも、材料や小物から空間を発想する機会は結構ありますね。
海外の見本市に足を運んでいないと、こうした発想が止まってしまう。僕は頭の中で常にぐるぐると考えていて、そこに新しいものがポンっと入ってくることで回転に変化が加わります。それをどのようなアイデアでアウトプットするのかが重要で、そのためにも展示会で情報を入れ続けるのは絶対に必要なことなのです。