価格競争に巻き込まれない
独自のポジション確立
❒ 客室稼働率やADR について想定されている数値目標について教えてください
ADR はマーケットの状況にもよりますが、3 万円台後半から4 万円台を目指しています。客室稼働率は年間で70%程度を想定しています。ローシーズンでも価格競争はせず、価格を維持しながら低稼働でも頑張っていく考えです。日本では客室稼働率90%台が当たり前というホテルも多く、89%になると下がったと思いがちですがそうではないですね。むしろ世界標準で見ればそのほうが珍しいと思います。
❒ おっしゃる通りですね。日本のホテル市場は以前から稼働率を追い求め、結果として、エリア単位で必要以上の値下げを行なっていました。そして現在でも、そこから抜け切れていない印象があります。キーとなるターゲティングとレベニューの管理体制についてお聞かせください。
女性に対し強い求心力を放つブランド、そして市場を念頭に置き、20 代~ 60 代の幅広い女性客をターゲットとしています。また、目標とするADR を実現すべく、レベニューの管理体制はアコーのクラスターレベニューチームと現地の宿泊予約とで、毎日動向をチェックしレベニューマネージメントを行なっています。京都市の調査では今年の外国人と日本人比率が5 対5になると見ていますが、当ホテルは外資系のホテルチェーンなので、外国人客6割、日本人客4 割を想定しています。そしてアコーはフランスのホテルチェーンで根強いロイヤリティプログラムがありますので、欧米のお客さまにもたくさんお越しいただきたいと思っています。
❒ 田中総支配人は大阪のホテルに勤められていたそうですが、その経験から昨今の京都、大阪のマーケットをどのように見られていますか。
大阪と京都では滞在日数も外国人比率も違いますので、まったく別物と考えています。大阪はこれからおもしろいコンテンツが生まれて、衰えることはないと思います。中国、台湾、香港、韓国などからいらっしゃるショッピング好きにはたまらないエリアですね。東京よりも物価が安いですし、来やすいロケーションですから、今後も万博までは堅調に伸びていくのではないでしょうか。
京都に関しては、観光資源が豊富で、食事も洗練されたものが多く、大阪に来られる方々よりは富裕層が多いと感じます。しっかりと日本のものを肌で感じたい、体験したいという方が多く、リピーターを獲得しています。しかしながらマーケットが右肩上がりではなく、横ばいか、なだらかな下り坂かもしれません。今後はミレニアム世代やその下の世代をどのように取り込んでいくかが課題だと思いますね。観光需要は高いのですが、宿泊特化型ホテルが建ちすぎているように感じますね。
ただ、そのカテゴリーのホテルが増えても、ラグジュアリーホテルやブティックホテルのようなカラーを持ったホテルはそれほど心配する必要はないでしょう。そのカラーを求めて来ていただけるので。われわれもそうしたホテルの仲間に入れるように努力していく所存です。
❒ 今後、どのようなホテルにしたいとお考えですか。
私の好きな言葉に「はじける笑顔」があります。はじける笑顔はどんな言葉よりも語ると思っています。目がキラキラしていてスパークしている、エネルギーに満ちている、そういうスタッフたちにしたいと思っています。お客さまを迎える際にも心からわれわれのホテルに来ていただきありがとうという気持ちがその表情からにじみ出るような、ハートで話すスタッフが接客するホテルを目指したいと思います。
❒ 本日はありがとうございました。
2019年7月26日号 トップインタビュー 京都悠洛ホテルM ギャラリー 総支配人 田中 一徳 氏
Mギャラリー日本初上陸。京都ならではの 唯一無二のプレミアムホテルを構築
【月刊HOTERES 2019年07月号】
2019年07月26日(金)