外国の方は日本では浴衣を着て畳の部屋で過ごし、お風呂にも入るあこがれがあると聞きます。日本のホテルも大がかりな改装で整えなくも、浴衣やレンタル着物の着付けサービスを京都のように恒常化して日本らしいフォトブースを作り、そのサービスをネットで発信するだけでも海外からの集客は増えるのではないでしょうか?
私のパリで暮らす旅の最後はプチホテル。「パリに行くならプチホテル」というようにプチホテルの良さを堪能、私が滞在したのは左岸のサンジェルマン、オデオンの近くのカルチェラタンのあたり。お食事がおいしいと有名だというビストロが併設のプチホテル。オーナーのこだわりが随所にあり、部屋の壁紙や家具は眺めるだけでパリのエスプリを感じ、お楽しみの朝ごはんはもちろん言うまでもなく期待を裏切りません。
超高級ホテルの朝食と出てくる品は変わらないのに、イベリコ豚を目の前でそぎ落とすハム、大きな瓶丸ごとのはちみつ、客の顔をみてからボイルする絶妙な半熟加減のゆで卵、ザクッとよそってくれるむいた生オレンジや煮込んだプルーンはシナモンスティックと甘さの控えた赤ワインの汁がたっぷりで、同じはずなのにまったく違う、これは小さなビストロだからこそできる魔法のふりかけのような「なんだかわからないけどおしゃれでおいしい」という感覚にさせてくれるのでした。
以前に書いたフランス郊外のロワールで滞在した農家民泊ジットが、薪を絶やさないように寝ないでくべてくださいというおもてなし、便利な文明の中で生活している日々と真逆にいる事実が異空間に旅をしている満足を与えました。同様にフランスの食、芸術、文化を知りたいという欲求を満たしてくれるこれらバラエティーに富んだ滞在方法をその都度チョイスできる楽しさを知り、「今度は」という楽しみを持てることが日仏友好となり、逆を言えばフランスの「滞在のヒント」は我が国も親日派を増やすインバウンドへのヒントかもしれません。