オープニングトーク。左が顧問の深谷宏治氏(レストラン・バスク)
「第1 回世界料理学会東京in 豊洲」(豊洲市場青果連合事業協会主催、東京都共催)が、2 月9、10 日、豊洲市場7 街区管理施設棟講堂で開かれた。日本料理の「伝承」をテーマに、実力派の料理人たちが講演・トークセッションで体験を語り、日本の食文化の奥深さ、取り組み、そして次代に託す思いを語った。
ジャンルを超えて料理人が刺激し合う学会
この学会の始まりは、2009 年4 月に北海道・函館の「レストラン・バスク」の深谷宏治氏を中心に、最前線で働く料理人たちが集まって開いた「世界料理学会in HAKODATE」だった。料理人には日本料理、フランス料理などの料理の枠を超えて真摯に交流する機会が少ないことから、過去7 回にわたる会を盛況のうちに重ねている。
豊洲市場青果連合事業協会の泉未紀夫会長と、今回総合ディレクターを務める銀座「六雁(むつかり)」料理長の秋山能久氏も初回から参加しており、いつか東京で開催をと希望していた。今年「卸売市場、それも移転後の豊洲で」という絶好のチャンスに、「第一回『世界料理学会』東京in 豊洲」が東京都の共催で実現した。
2 月9 日の開会宣言で秋山氏は、「料理人生26 年間、築地で育ててもらいました。豊洲を世界にアピールするためにも、料理人同士のつながり、生産者のつながりとさまざまなつながりを大切にすることで日本の料理を広げていきたい」と開催の喜びを語った。共催者代表として小池百合子都知事は、「豊洲市場は今いる皆さんと魂を入れる作業をしています。食文化は東京から、また日本全体から世界に発信するキラーコンテンツになっています。新たな食の情報発信拠点としての役割を継承するうえで、新たな豊洲ブランドの一歩を築くものだと思います」と祝辞を述べた。主催者の泉会長は「築地市場の人間が豊洲に来ても築地魂を引き継いでいくでしょう。世界料理学会が長く続くように願っています」と豊洲市場開催の意義を強調した。料理人が調理技術や仕事の哲学を学び合うこの会が、築地からの文化を受け継ぎつつ、新たな道を探る豊洲市場の課題とも重なった。