多様な価値観の時代を迎えるにあたり、世界レベルに通用する日本人であり、人であるためにどのようなことを思考し、実践していくべきかを本誌にて綴っているのが㈱スティルサンク 濱野紹央子社長だ。
これからの時代、サービス業において国境を越えた人間関係を構築していくためには世界儀礼のプロトコルの習得も不可欠であるが、それ以上に人として世界の人々に向き合える人間力が求められる。
そこで今回は濱野紹央子社長のこれまでの歩みの中から、人材育成の在り方を語っていただいた。
福永 日本のウエディング業界も、ようやくフリーランスのプランナーが活躍できる機会が増えてきましたが、まだまだ施設主導型でのウエディングが主流で、欧米スタイルは浸透されていないのが実情です。
その中でフリーランスとして、個人のお客様のウエディングプロデュースはじめ、名門ホテルのブライダル再生事業のご経験や、官公庁に関わる仕事まで手掛けられていらっしゃいますが、初めに今日に至るまでの経緯をお聞かせいただけますか。
濱野 高度経済成長期により家電製品など生活を豊かにする物があふれ、食にも困ることなく生活できるようになりましたが、バブル崩壊後に日本経済は一気に冷え込み、以来、不安と緊張が続く社会へと変化してきました。
失われていく心のバランスを回復させるために家庭や学校、職場において心理的なサポートが求められるようになったのです。
このような社会的要請に応えるために1996 年に立ち上がったのが「日本産業カウンセリング学会」でした。
以来、「日本学術会議」より研究団体として認定され、企業や公共体、学校、病院、そして、施設、諸団体などを幅広く視野に入れ、そこに働く勤労者の健康、福祉、能力開発に貢献することを目的として、実践的なカウンセリングの研究活動を推進しています。
私は大学在学中に日本代表として全米を訪問したとき、心理カウンセラーやマリッジカウンセリングの存在を知り、いずれ日本も心理的なサポートが求められる時代が来るのだろうと感じていたこともあり、学術的な視点や知識から心理カウンセリングをしっかり学ぶことを決意したのです。