その土地の環境を生かし、
長期的に継続する文化をつくる
相馬 イル・ボッロ、森トラストのホテルではどのようなお客さまがどんな滞在をしているのでしょうか。
伊達 もともとは企業向けの会員制クラブからホスピタリティー事業は始まったのですが、最近ではインバウンドの需要が増えてきています。
日本のお客さまとインバウンドのお客さまのご要望はもちろん「オーセンティック(本物)」であることは同じなのですが、そのリゾートならではのユニークな面や体験を、よりインバウンドのお客さまは求めていると感じます。
SF われわれのお客さまはイタリアの大都市から3 泊くらいでいらっしゃることが多いです。フィレンツェから車で1 時間くらいですので、フィレンツェ、そしてローマやミラノから来られるお客さまが多いですね。
相馬 伊達さんは、オーナー企業の社長として、サルバトーレさんもフェラガモ家というオーナー企業の一員として、長期的な視野に立ってそれぞれ運営をしていかれることと思いますが、今後はどのような視点で開発を進めていかれるのでしょうか?
伊達 祖父が開発事業を始めて、私で三代目になります。
私が受け継いだことは、その土地を開発するからには、その土地の人たちと、そこで生まれる産業や生み出すものすべてが持続可能(サステナブル)であるようにすることです。
土地だけがあっても何か生み出すことはできないのですが、そこに人の手が入り、付加価値をつけることで人が集まり、産業となりその土地が育っていく。
そしてそれを長く持続させることこそが私が描く開発だと思っています。
長期的な視野に立てるのは、信念として受け継いできたものがあり、そしてそれを実践できる立場にあるからだと思っています。
その土地に長く根差し、産業を一緒に育てていく、これは長い年月にわたって続けなくては実現できないことなのです。
SF イル・ボッロは今後も、宿泊ヴィラを作り、もっと多くのお客さまにいらしていただけるように投資を重ねていく予定ですが、伊達さんのビジョンにはとても賛同します。
私もこの近辺の農家の方たちと一緒に野菜の開発をしたり、イル・ボッロというトスカーナワインのプロモーションのために世界中に出張しています。この美しい土地がより豊かになるように、ファミリーとして守っていきたいと思っています。