新年早々、音楽著作権についての注目すべき動きがありましたので、早速共有いたします。
一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が、2019 年1 月10 日付で披露宴の様子を収録する「記録用ビデオ」を作成する際に問題となる、いわゆる「写り込み」について、初めて具体的な判断基準を示しました。
㈱ブライト 代表取締役
行政書士事務所ブライト 代表行政書士
夏目 哲宏(なつめ・てつひろ)
【経歴】
1979 年5 月2 日 愛知県生まれ
2002 年 北海道大学法学部卒業
2004 年 北海道大学大学院法学研究科修了
㈱リクルートコスモス
(現コスモスイニシア)入社
一戸建て住宅の営業部に配属される
2007 年 同社法務部に異動
2009 年 ㈱ノバレーゼ入社
法務、株式、総務の仕事に従事
2014 年 行政書士登録
2015 年 ㈱ブライト、行政書士事務所ブライト設立
2017 年 弁護士と提携し法律事務所ブライトをグループ化。すべての法律資格と提携関係を構築し事業展開中
Q.「写り込み」とはどのようなものか?
A . 著作権法第30 条の2 に規定された、権利者の許諾を得る必要のない例外事例です。
結婚式の様子を収録した「記録用ビデオ」を作成するにあたっては、当日BGMとして流された複数の楽曲が映像とともに記録され、原則としてそれらの楽曲について「複製権」の許諾を得なければなりませんが、その対象となる楽曲が、
(1)本来の撮影対象と分離困難なため付随したもので、
(2)制作される「記録用ビデオ」の軽微な構成部分に留まる場合
には、その楽曲は本来収録しようとしたものでなく「単に写り込んでしまった楽曲」ということで、権利者の許諾を得ることなく(使用料を支払うことなく)使用できるとされています。
1 組の挙式・披露宴において使用されるBGM 楽曲の数は平均して15 ~20曲とも言われているところ、「記録用ビデオ」を制作するにあたり、もしすべてのBGM 楽曲をそのまま収録し、またそのすべての楽曲について権利許諾をしなければならないとすると、1 作品あたり相当高額な使用料を支払わねばならず、現実的に商品化が困難となってしまいます。