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2019年2月1日号  トップインタビュー  ㈱龍名館 代表取締役社長 浜田 敏男 氏 

いつも安心して帰ることができる第二の我が家であってほしい ~スタッフも一族の一員として大きなファミリーに発展させてほしい~

【月刊HOTERES 2019年02月号】
2019年02月01日(金)
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―創業から120 年の今もなお、ホテルでありながら我が家のようなくつろぎを与える場所を求められていたのですね。
 
浜田
 ホテルはビジネスや日ごろの疲れをとれる場所であることが大切です。我が家に帰ったようなほっとしたひと息がつけるような、いつも安心して帰ることができる第二の我が家であってほしいと思います。

そのためには周囲の環境や昼夜の人の流れ、そしてサービス業において欠かせない“ 人” です。お客さまに安らぎを与えられるような対応を毎日、毎日積み重ねていくことです。

そうすることで現金収入も積み重なりホテル運営を順調に回転させることができるようになります。そのためにも人材育成は最も重視しています。
 
 どんなにハイセンスなホテルでもお客さまも迎えるというおもてなしの心がなければリピーターにつながりません。1人でも多くの方にファンになっていただき常連客を増やしていくことが大事なことだと思っています。

私自身両親に教えられてきたのは“ お客さまのために尽くすこと” です。本当にお客さまと向き合い、お客さまが求めていることを徹底的に行うことは難しいことです。

中には理不尽と感じることもあるでしょう。そんなときにはよく母が言っていた“ 龍名館の看板に頭を下げる” という言葉を思い出します。

龍名館という看板を背負っていること、その看板に頭を下げると思えばどんな理不尽なことでも寛容に受け入れることができます。
 
 ともかくお客さまのために尽くすこと、この精神は変わることなく徹底してほしいと願います。
 

 
日本や日本人を
五感で感じてほしい

 

―ところで、ホテル名称もあえて「龍名館」の文字を刻まれませんでした。
その理由は何ですか。
 
浜田 
創業120 年の歴史ある「龍名館」ですが、私もそろそろ次世代にバトンタッチしていく年齢です。

心機一転、これからまた先の時代を築き、走り続けていくためにもホテル名称も新たにした方が良いという考えからです。また龍名館の看板が増えることで逆にこれまで築いてきたブランドが薄れてきます。

そこでお茶の水本店で運営しているお茶のレストラン「レストラン1899 お茶の水」と同ブランドのホテルという位置づけとし、創業者から今日まで受け継がれてきた心を大切に継承していくためにも創業年である「1899」をホテル名に刻んだのです。お茶は人の心をリラックスさせる効果があります。

ほっとするゆるやかな時間を楽しんでいただけるようなホテルを目指し、ゆるやかな時間をホテルブランディングの核に添えました。お茶はまさに日本の古き良き旅館を感じさせ、その風情や文化を海外の方にも体感していただくことで日本や日本人というものを五感で感じていただけたらと思います。
 
―急速にホテル軒数が増えている中でホテルブランディングはとても大切なことですが。
簡単に構築できるものでもありません。
 
浜田 
理想的には宝飾品のブランドやディズニーランドショップやハードロックカフェのように、名称を聞けば誰でも分かるようになることです。

「1899」をいかに感じさせるか、「1899」と聞けばゆるやかな時間を提供してくれるところ、ほっと安心できるところというように、ホテルとお茶の文化を融合させることでほかのホテルにない個性を打ち出せるのだと確信しております。そのためにもスタッフ一人一人のお客さまを迎えるという心が大切です。

お茶でほっとひと息つけても対応が悪ければ「1899」の本髄を積み重ねていくことができません。
疲れた心や体が心身ともにいやされ、疲れをとってご自宅に帰っていただけることが大切なことです。
また1階は昼夜ご利用いただけるデリ&バルにしました。
 
 ご宿泊されない方でも縁側をデザインコンセプトとした店内でのんびりとお茶をたしなんでいただければと思います。ご宿泊者にはフロントでお茶のサービスをしています。
2 階に上がるとお茶の香りが広がっています。まずはリラックスしていただき、その余韻を五感で感じながら静かな客室でゆっくり過ごしていただければと思います。
 

―最後に次世代に向けてひと言お願いいたします。
 
浜田 これまで同様、スタッフの皆さんで協力して「1899」ブランドを高め、浸透させてほしいと思います。

世代交代に当たり資産を子どもや孫に分配してしまったらまとまって運用することができなくなります。

それよりも限りなき可能性を秘めた次世代をになう若者たちが皆で協力し、まさに家族の一員のような気持ちでともに成長してほしいと願い、新たなホテルを開業いたしました。

そのためにも何を守っていくべきなのか、本物を見極めていく審美眼を持つことが不可欠です。

何が本当のことなのか、本来はどうすべきかなど、常に考え続けていくことです。

考えながら走り続けていく中で新たな展開やアイデアが生まれます。それを繰り返すことでそれぞれが今、必要なことや将来必要なことを考えるようになり、皆の成長とともに龍名館そして1899 はますます発展していくことでしょう。

人の輪を大切に、スタッフも盆暮れのあいさつをするような一族の一員として大きなファミリーに発展させてほしいですね。100 有余年の悠久の流れの中で培われた龍名館流の「きれいな落ち着いたホテル」をこれから新たなブランドで10年、50 年、100 年と刻んでほしいと思います。
 

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