飲食店は数あれど、これほどマニアックでおいしい日本酒を数多く提供しているところはないと称される、白金高輪のダイニングバー「GONZO」。そんなGONZO のマスター浅井剛一氏が、日本酒の歴史と文化の話を交えつつ、ホテル・レストランでの提供方法までご紹介していきます。(偶数号連載)
浅井 剛一(あさい・ごういち)
1977 年東京生まれ。2004 年10 月、日本酒に合う肴、料理に合う酒をテーマとして白金高輪にGONZO をオープン。2006 年に唎酒師取得。
GONZO
東京都港区三田5-21-7
℡ 03-3449-5500
できたての味、寝かせた味
本格的な冬となり、続々と新酒が届けられてきます。自分が大好きな銘柄や、交流のある蔵元さんのお酒は蔵出しされたと聞くとすぐにでも呑みたくなりますね。呑みたくなると言っても仕事の試飲モードでまず口を付けるわけですが。厳しい視線でというよりも「今年はどんな味かな」と思いながら呑みます。ドキドキの緊張感とワクワクの楽しみな気持ちが入り混じっている心情です。蔵元さんのことをよく知っていたりすると、ちょっとした親心のような気持ちでひと口含んで、ゆっくりと喉を通ったときに抑えられない自分のニヤケ顔を感じながら、蔵元さんに思いを馳せて、心の中でいい意味での「やりやがったな」と思うときが妙に好きだったりします。そして、早くたくさんの人に呑んでもらいたくなります。